友へ送る桜の贖罪ーアトーンメントー 【警察学校組】

牽牛と朝顔姫の思い出 ページ42

「七夕の日に限って事件とは……」
「よりによって雨ですし」



7/7。世間では七夕と言われる日で、織姫と彦星が年に1度だけ会える特別な日でもあった。しかし、ここ数年の七夕は快晴とは真逆の雨日和が多い。そんな特別の日に銃器密売を行うお馬鹿な集団の張り込みを行い、気付けば翌日となっていた。仲間へ引継ぎ、松井と共に車で本庁へと戻る。



「松井くん、お願い事した?」
「昔はしていましたが、今は……。先輩は?」
「私もしていないよ。強いて言うなら、事件なくなれ!だね」



「確かに」と松井は呟き、苦笑した。凶悪犯罪はもちろんだが、普通の事件だってなくなってほしいと思う。もしそうなったら警察はお役御免になるわけだが。ふと何年か前を思い出し、クスクスと笑う。



「どうしたんです?急に」
「昔ね、塾でアルバイトしていたことがあるんだけど……。生徒に”お願い事はないのか”って聞かれて。些細なことでもって言うから、”雨女から脱却したい!”って力強く言ったら、笑われたんだよね」
「先輩、雨女ですもんね」
「でしょ?だから生徒の前で必死に"雨女はもう嫌だっ"ってお願いしたことがあったなって」



思い出し笑いしたのは、それだけでなかった。7年前＿＿警察学校時代、彼らと共に過ごした、1度きりの七夕を思い出したからである。









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珍しく満点の星空だった七夕の日に、6人で密かに寮の外へ出るなり、空を見上げた。



＿＿願い事とか、子供の時以来だな

＿＿降谷は何を願ったんだ?

＿＿どうせ例の女医さんが見つかるように、とかだろ?

＿＿悪いかっ

＿＿櫻樹ちゃんは?

＿＿私?私は……









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これからも6人で過ごせますように
朝顔の花言葉:愛情、結束



中国では牛を飼う男(=彦星)のことを”牽牛”と言い、日本ではそれにちなみ朝顔を”牽牛花”と呼ぶようになる。”牽牛花”は”織女”(=織姫)を指し、それが転じて”朝顔姫”という異名がついたとされている。

Trick or …→←彼女は彼の疑念を回避したい

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