友へ送る桜の贖罪ーアトーンメントー 【警察学校組】

彼女と車と桜の思い出ートラウマー1 ページ39

夜勤を終え、昼ご飯をと喫茶ポアロへ松井と入る。いつものを2つと言えば、榎本は笑顔でオーダーを受ける。今日も可愛らしい看板娘である。
カウンターには、法定の女王・妃英理弁護士の秘書、栗山緑がいた。時々こうして遭遇することがあり、話をする仲である。



「やぁ栗山ちゃん。お隣良い?」
「こんにちはAさん!もちろんです!お隣の方は…彼氏さん、とかですか?」
「あっはは!彼は私の後輩。残念ながら年下は恋愛対象外です」
「うるさいですよ先輩…。はじめまして、松井と申します。先輩から話は聞いていますよ」
「ご、ごめんなさい勘違いしちゃって…!栗山です、はじめまして」



榎本が松井へカラスミパスタ、櫻樹へカルボナーラを渡す。平日の昼間だからから、店員は榎本1人、客は櫻樹達3人以外誰もいなかった。栗山は妃の、櫻樹は松井の、松井は櫻樹の、榎本は安室の話題を出しながら盛り上がる。事件だったり、仕事の愚痴だったり……賑やかな時だった。ふと栗山が櫻樹に純粋な疑問をぶつける。



「そういえば、安室さんと櫻樹さんって同級生ですよね?」
「うん、学校も一緒だったよ」



警察学校の、とは言わない。




「安室さんが運転する車、乗ったことあります…?」
「ないけど…どうして?」



栗山曰く、安室の助手席は怖いらしい。以前、妃弁護士の無敗記録更新パーティーのため、注文の品を取りに来たものの、時間を間違えて間に合わない可能性があったということだった。色々あったが、どうにか時間内に着きそうという時に、トンネル内で水道管破裂による道路が封鎖状態。栗山が諦めかけたその時、”ソレ”は起きた。安室が急にバックしたかと思えば、トンネル内の壁を使って安室は車を走らせたという。
栗山の話を聞いて、榎本と松井は引き気味な苦笑いを零し、櫻樹はドン引きした。



「あれ以来、安室さんが、というか、安室さんの運転がちょっと怖くて…」
「な、なんというか…安室さん凄いですね…」
「榎本さん、凄いで済まされないことですよ…」
(降谷氏…)
「安室さんの車乗ることがあったら、本当、気を付けてくださいね!?」



櫻樹は思う。降谷の運転は彼が原因ではないかと。



「でも私、栗山ちゃんより凄い体験してるよ?」
「安室さんの運転でですか!?」
「違う違う!別の人!教えてあげようか?」



どうせこの後は松井も非番だ。栗山に時間を聞けば、2時間ほど時間があるということで、7年前の話を始めた。



「7年前にね?」

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