友へ送る桜の贖罪ーアトーンメントー 【警察学校組】

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ここ数日の記憶は曖昧だったが、確かに覚えていたのは、夢で見た時と同じように誰かに刺されたことだった。医者のおかげである程度は回復し、降谷と松井が時々見舞いに訪れる。
聞けば、1ヶ月ほど意識が戻らなかったそうだ。犯人は降谷がその場で逮捕、救急車は松井が呼んでくれたらしい。一課には諸々誤魔化し、結果的に公安預かりとなった。





＿＿犯人は櫻樹の両親が巻き込まれた、16年前に長野で起きた無差別殺傷事件、10年前に東京で起きた通り魔事件と同一人物だった





「君がご両親の事件について密かに調べていたのを、ヤツもどこかで聞いたんだろう」



供述内容を問うと、あまり良いものじゃないと苦い顔をされた。両親が亡くなった真相を求めている目をしていたのだろう、降谷は諦めてポツポツと話し始めた。





＿＿昔、長野県警察生活安全部少年育成課に所属していた女性が、1人の少年を助けた

＿＿少年は女性に懐くものの、女性は結婚して子供もおり、少年は怒り狂った故ストーカーをしだした

＿＿引越しをするのをどこで聞いたのか、直前に無差別殺傷事件を起こし、そのまま逃走。女性は亡くなった

＿＿警視庁警務部人事第一課監察係に所属していた男性を死に物狂いで探し出した

＿＿帰宅中を狙って犯行を行い、そのまま逃走。男性は亡くなった

＿＿1年前、女性の面影を残す櫻樹を見て、再び憎悪が蘇り、今回の犯行を行った





「……ざっとこんなものだ。すまない、病み上がりの身体に響いたな」



なるほど、夢の中で起きた出来事が現実とリンクしていたのかと静かに納得する。犯人の顔をきちんと見ていないが、母が扱っていた事件ファイルを見つければ分かるだろう。父も密かに調べていたようだから、もしかしたら家の中を確認するのも1つの手だ、と考えた。



「……ううん。ありがとう。ずっと知りたかったことだから」



ふと気付いたのは、夢の中だと両親のことを調べなかった自分がいたという点だ。失った悲しみがなかったわけではない、が、家族のように同期と過ごした時間が1番記憶にあったのだろう。



「そういえば、意識を取り戻した時話したいことがあると呟いていたが……」
「うん、降谷くんにどうしても話したいんだ。そのかわり、我儘聞いてくれないかな?」
「僕に出来ることなら」









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半年という短い時間の中で、共に過ごした彼らの話を＿＿

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