友へ送る桜の贖罪ーアトーンメントー 【警察学校組】

Friend5:警察庁警備局警備企画課 降谷零 ページ22

目紛しい日々を過ごせば、気付くとあっという間に1年が経っていた＿＿



夜勤明けの非番、櫻樹は松井に紹介された喫茶店へ、いつもの3人＿＿伊達、萩原、松田＿＿と足を運んでいた。
喫茶店巡りが好きな松井がいつ見つけたのか、米花町5丁目にある”喫茶ポアロ”を勧めてきたのである。折角の非番、たまには居酒屋以外で美味しいものが食べられればと、誘ったのだった。萩原は仕事終わり、伊達と松田は遅番ということで、少し遅めの昼食を共にする。平日の昼間だからか、店内には榎本梓という女性店員と櫻樹達しかいない。笑顔が可愛らしく、良い看板娘だと1人心の中で褒めた。



「それにしても、松田くんが一課に残るって聞いた時驚いたなぁ。あ、カルボナーラと紅茶お願いします」
「俺のこと爆処に誘っておいて酷いと思わない?俺はねー、カラスミパスタとコーヒーで」
「一課と爆処にエースがそれぞれ居るんだから、悪くねぇ判断だろ。ボロネーゼとコーヒー」
「おいおい、俺の前で一課のエースと勝手に名乗りなさんな。こいつと同じ、カラスミパスタとコーヒーで」



カラスミパスタは喫茶ポアロの看板メニューなだけあり、途中で萩原が「梓ちゃん、これ美味いねっ!」と絶賛していた。(初対面でも親しげに話せるのは萩原の特技みたいなものである。)
榎本が「ありがとうございます!」と笑顔で返せば、何故か萩原でなく櫻樹が「可愛いなぁ」と呟いた。無類の可愛いもの好きなだけある。

時折シェアをしながら完食し、食後のコーヒーや紅茶を堪能していると、カランカランと入り口のベルが店内に鳴り響いた。眼鏡をかけた背の高い男と、見覚えのある金髪に褐色肌の男が入ってくる。
4人はグラスを乱雑に置いてしまったのに気付かず、金髪の男をこれでもかと目を見開いてガン見した。腰元に付いているネームプレートを見れば、金髪の男は”安室”、眼鏡の男は”唯”と書かれており、2人は視線に気付かず榎本と話す。

シフトの交代だろうか。榎本が「後はお願いしますね!」と声をかけて裏へ行き、男二人がカウンターへ入るのを確認する。松田が安室、櫻樹が唯へ食ってかかり、2人の声が重なって店内に響いた。









・









「お前、零(ゼロ)だろ!なんでここにいるんだよ!?」/「その声、諸伏くんでしょ!?」
「ま、松田!?」/「なんで分かった?!」



それで良いのか、公安警察。



「え、Aちゃん声で諸伏って分かったの?零の方見ていたのに」
「アイツ耳だけは良いからなー」

風が吹くこの街で→←前を向く為に

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す