友へ送る桜の贖罪ーアトーンメントー 【警察学校組】

Friend4:警視庁刑事部捜査第一課強行犯三係 伊達航 ページ17

音信不通だった諸伏との思わぬ再会は伊達、萩原、松田にも言えないまま数年。正確にはあの出来事を櫻樹は誰にも言わないまま、自分の胸に秘めた。





時間というのはあっという間に過ぎるものである＿＿



警察官になってから6年の月日が流れた。
謎の頭痛もまた形(なり)を潜め、仕事に支障をきたすことなく過ごせている。
新たな変化があったとすれば、伊達、萩原、松田が若干過保護になったことぐらいだろう。爆発物事件に2回も巻き込まれたことを穿り(ほじく)返され、迷子のくせに廃ビルで寝るとは何事かと大目玉を喰らった。挙げ句、酔っていたと勘違いしてしばらく禁酒を言い渡すなど、とんだ理不尽である。
不幸中の幸いなのは、廃ビルの一件が松井含めた組織犯罪対策第五課(組対五課)の先輩達の耳に入っていないことだ。無論、高明にも言う気など櫻樹にはまったくない。まったく、だ。



(諸伏くんの方が落ち着いたら、高明くんにばらしてやる)



と、いつ実現出来るか分からないことを密かに企んでいると、「結婚!?」と、隣に座る萩原の声に驚き、持っていたグラスを落としかけた。
数ヶ月ぶりの同期会の話題は、どうやら恋愛についてのようだ。櫻樹の真向に座る伊達は烏龍茶片手にニコニコと「おう」と返事をする。


「アイツのこと、ずっと守ってやりたいんだよ」



伊達がそう話せば、「伊達くん格好良すぎる」、「班長イケメン!」「さすが、熱い漢だな」と各々揶揄う。
照れているのを誤魔化すように、伊達が松田に尋ねる。



「松田はどうなんだ?佐藤とそれなりに親しかっただろ」
「え、陣平ちゃん彼女出来たの!?俺聞いてない!」
「私も聞いてない!なんで教えてくれないの!?」
「彼女じゃねぇし、ノってくんじゃねぇよ」



これ以上ないくらい鋭い目で睨まれた。可愛い顔が台無しである。
伊達は自分で振っておきながら「佐藤は一課の高嶺の花だぞ〜」と、松田からしたら余計な、櫻樹と萩原からしたら驚愕の爆弾を落とした。



「陣平ちゃん……」
「物好きというか、度胸があるというか……」
「テメェら……」



確かに松田と佐藤＿＿伊達の同僚＿＿はそれなりに親しかったが、今では同僚として接している。
松田は変なところで鈍感かもしれないと、この場にいる3人は同じことを考えた。









・









「そういう萩はどうなんだよ」
「俺?Aちゃんがコイビト♡」
「却下♡」
「櫻樹ひっでぇ!」
「コントかよ!」



結論:伊達以外は仕事が恋人

いつも変わらない景色→←青すぎる空の下

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