高すぎる遠い空の向こう ページ13
長野弾丸旅行2日目__
頼みの綱であった同級生の上原由衣__元長野県警察刑事部捜査第一課__とは連絡が取れず、結局高明の家に宿泊することとなった。ついでに夜行バスの時間までいるよう指示されたが、非常に喜ばしいことである。
しかし、長野に着いて早々櫻樹は何度も泣きそうになった。
何せ移動中の車内だけでなく食事中、酒の席で隙を突いては爆発物事件のお説教を食らったのだ、泣きたくもなる。
反撃とばかりに高明の所轄への異動、高明の同僚である大和勘助の大怪我、上原の退職を突っ込めば、たちまち空間が猛吹雪に見舞われたぐらいだ。
櫻樹は再認識した。
容顔美麗の諸伏高明は怒ると怖い__と。
「そういえば」
「まだ何か?」
「怒んないでよ!高明くん、弟とかいるのかな、って……」
弟と発すると、先程と同じように猛吹雪を錯覚させる空間がやってくる。
何が地雷だったのか分からず、櫻樹は混乱し始めた。ここまで高明を怒らせたことは初めてで、右往左往してしまう。
数秒が数分、むしろ数時間に感じていると、頭に大きな手が置かれる。緊張が解け、不安げに顔を上げれば、何かを決意したような、困ったような表情で高明が見下ろしていた。
「いますよ。あなたと同い年の警察官です。元、ですけれど」
「嘘……!?」
突然のことに頭が真っ白になる。高明に兄弟について尋ねたのは、1つの確信があったからだ。
警察学校時代、苦楽を共にした、高明と同じ苗字、似た顔立ちの仲間__諸伏景光という男が居た。
問題児5人組の1人として纏められていたが、正義感が強く、周囲を影から支えている青年だったと記憶している。最初は高明に似た顔の同期という認識だったが、同じ長野の出であること、三国志に興味があることから親しくなったのを、昨日のように覚えている。
「あなたが考えている人物で合っていますよ。昨年退職したらしく、それ以来音信不通です」
「な、なんで……」
聞かずとも、櫻樹にも覚えがあった。
例の爆発物事件に巻き込まれて数ヶ月経ったある時、急に連絡が取れなくなったことを__
伊達、萩原、そして松田が、彼と一切連絡が取れなくなったと、ぼやいていたことを__
・
“公安警察”
高明の言葉がやけに重く、頭に浮かべた単語は口に出すことが出来なかった。
「"泣いて馬謖を斬る"……信じて待ちましょう。私達に出来ることは、それだけです」
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涼夜(プロフ) - 休校さん» コメントありがとうございます。気に入っていただけて幸いです。今思えば、後ろから読んでも案外悪くないかもしれない…と自分で思っちゃいました笑 感想をありがとうございました。続編は7年前のお話なので、こちらもよろしくお願いします! (2020年6月29日 23時) (レス) id: b39a884821 (このIDを非表示/違反報告)
休校 - 面白くて、切なくて、哀しい物語でした………すごく気に入りました!遠回しな表現や伏線などを理解していくと奥が深いですね!最後は、赦しをこう相手がいて、よかったです!上から目線ですみません!すごく楽しかったです!ありがとうございます笑 (2020年6月29日 21時) (レス) id: 45889617ce (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 涼夜さん» 読みましたけど...まぁ、とりあえず泣いたのはいいとして(よくない)私は、泣ける小説も好きなので!何となく逆走ってところでひかかってはいたのである意味スッキリですw完結?おめでとうございます! (2020年6月27日 23時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
涼夜(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» コメントありがとうございます。想像していた展開とは真逆だったでしょうか?「作者から」に解説みたいなのを記載しました。望んでいた展開等ありましたら、コメントをしていただければ幸いです。 (2020年6月27日 22時) (レス) id: 5c254c67f7 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 全部...夢だったの...?え... (2020年6月27日 1時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼夜 | 作成日時:2020年6月20日 21時