幼少時代 第十二話 憎い ページ14
「お兄ちゃん!!」
バンッ
私は家のドアを勢いよく開けた。
開けた拍子にガタンと嫌な音が鳴ったけど今はそんなの気にしてられない。
家の中は暗い。
夜というのもあるけど明かりは消されているし元々二人しか出入りしていないから。
(ううん、そんな事よりっ)
「お兄ちゃん、いる?」
パチッと電気をつける。
一気に明るくなってキュッと目を瞑ると恐る恐る開けた。
「っ……うそ」
家は、グチャグチャになっていた。
けれど、私が絶句したのはグチャグチャだからでは無い。
お兄ちゃんの靴と、服やらがズタズタになっていて1つ2つ靴が無くなっていたから。
お兄ちゃんが持っていた包帯は捨てられた様に置かれていてお兄ちゃんが使っていた黒外套は綺麗に置かれていた。
「は、ハハッ…お兄ちゃん、ねぇ」
嫌な予感は的中した。
お兄ちゃんは捨てた。
ポートマフィアを裏切った。
私を捨てた。
夢は正夢になったんだ。
「酷いよ、そこまで…しなくてもいいじゃん」
なんで置いていったの。
なんで連れて行ってくれなかったの。
一緒にいる時間は少なくても冷たい言葉を浴びせられても、私達は唯一無二の家族で兄妹なんだよ?
「なんでそんな事をされないといけないの?」
私を捨てないで。
私を見てほしかったよ
避けていたとしても私は貴方を嫌ってなんてなかったから。
「嫌ってなんてなかったよ。寧ろ好きだった。家族だから。」
誰も居ない広い部屋でポツリポツリ呟く。
涙が一筋流れる。
「でもね、それももうお終い。」
今は何でも、私を捨てた兄が憎い。
そこまでする必要性を感じない。
捨てられた意味は貴方が私を嫌っているから?
なら、私も貴方が嫌いだ。
好きだった、のも今日でお終い。
今はひたすらに
「太宰治が憎い。」
太宰治が、私の兄だった人が、家族だった人が、
嫌いで嫌いで憎くて憎くて、急激に怒りが湧いてきて、
「今度は私の番よ」
私が今度は貴方を絶望に落としてあげる。
それ迄
「さようなら」
ガチャ
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水無月(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月6日 18時) (レス) id: 451a5f317f (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - レイさん» わっ!ありがとうございます……!めちゃくちゃ嬉しい! (2019年7月6日 18時) (レス) id: 451a5f317f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年7月5日 21時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 続きが凄く気になります!体調に気をつけて、作者さんのペースで更新頑張ってください! (2019年7月5日 7時) (レス) id: ff621c54c8 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - "(ノ*>∀<)ノありがとうごさまいます!すっごく嬉しいです!続き待っててくださーい! (2019年6月27日 18時) (レス) id: 451a5f317f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2019年5月31日 21時