秘めたるは高嶺の花【JW】～橙の事件簿～ (ページ17)

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「それは信用できる話ですか？」

濱ちゃんが渋い表情で聞く。

「もちろん。かわいい甥っ子のことを守らない叔父はいないでしょ？」

茶目っ気たっぷりに答える悠悟とは対照的に、
兄弟の表情は疑心暗鬼に包まれていた。

「淳太。俺の仕事は？」

それを感じたのか突然、淳太に尋ねる悠悟。

「えっと・・なんか修復したり鑑定したり・・あとなんか役員になってなかったかな？」

「覚えてないの？」

「だって、俺には関係ないし、あまり覚える必要性を感じなかったから・・・ごめんなさい。」

しゅんとした淳太のこめかみに軽くキスをしてかまわないさと言う風に
ウィンクをする悠悟に、周りが悲鳴を上げた。

「相変わらず、愛されてるね。」

クスリと笑って頭をぽんぽんと軽く撫でつけ、他の兄弟に向かって
先ほどまでの雰囲気を払ってまじめな顔で言った。

「俺は、今は基本はイタリアで美術修復師、鑑定士として働いているが、
日展の理事にも籍を置いている。この作品のことは当時の審査員が覚えていて、
最後まで悩んだらしいが、子供の字で住所が書かれていたことから、
子供のイタズラかもしれないと最終的に落選になったらしい。
だから、照史が盗作していないことはこちらがきちっと説明する。」

「お願いします！！」
照史が頭を下げる。

「こちらこそ、対応が遅くなってしまってすまない。
まさか、家まで押し掛けるとは思ってなかったものでね。」

申し訳なさそうな顔で謝る叔父に照史は今度ゆっくりと絵の話でもしたいと思った。

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