恋心に蓋を

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武田side


　勝田が話し始めた時は驚いたが、特に違和感はなかった。

(其にしても流暢に話すな…)


　語学にも長けている、それかそっち系の出身か考えていた


『貴方達、ちょっといいかしら？』


男1「お、お前」


男2「喋る事が出来るのか？」


『ええ、そんな事より』


男1「そんな事より？」


『提案があるの』


男2「…」


『お勧めの職場があるの。怪しい所じゃないわ、ただの中華料理屋さん。ちょうど求人をしていたの。若紫の紹介と言えば話は通るわ。』



　就職先の紹介？中華料理屋か、あいつらにピッタリじゃねぇか。それにしも“若紫”って何だ？



男2「何故、俺達にそれを？」



『安月給で働くより、安定した高収入の方が良いでしょ？』



男2「…嘘だった場合は？」


『私の髪、爪を差し上げましょう』



　 髪、爪だと？勝田は髪を丁寧に手入れしていた。しかも爪って、どういう事だ。剥ぐって事か？頭が混乱していれば次の言葉に衝撃をくらった




男1「げぇ、いらねぇ」


『信じられないですか？』



男2「…」


『…でしたら小指を捧げましょう』



　…は？小指だと？何を言ってるんだ勝田は。しかし表情は真剣そのもの。本気だという事に気づけばその異常さと狂気さで目が回った





男1「はぁ？」


『嘘はつきませんよ』


男2「…信じよう、行くぞ」


男1「分かった、信じたからなー」


男2「威圧するような真似して悪かった」



　他の奴等には、髪や爪、小指の事は言わず簡潔に伝えた。まぁ、鋭い奴らは疑問を持ったようだがな。


　俺は馬鹿だから分かんねぇが、勝田に対して言及するにはまだ早い気がした。

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