30.目を合体わせる ページ31
叫び声で目が覚める。
視線の先でシンタローさんの体がドサリと音を立てて落ちた。
右手の銃も投げ捨てて冴える蛇は笑う。
倒れ伏しているメカクシ団の皆。
変わり果ててしまったマリーちゃん。
「いらない……皆がいない世界なんて……！
もう一度、皆と過ごしたい……！」
蛇のようにうねる白い髪、頬や腕に生えたような鱗。
真っ赤な瞳を一杯に見開いて叫ぶその姿は
お伽噺のメデューサそのものだった。
マリーちゃんが号哭すると同時に、
血塗れのモモちゃんの体から
這いつくばったセトさんの体から
動かない皆の体から、黒い靄が立ち上る。
私は先程見たものを思い出して慌てて駆け寄った。
「マリーちゃん待って！それじゃ冴えるの思うツボなんだよ！」
肩を掴んで揺すったが振り払われてしまう。
「マリーちゃん……！」
もうマリーちゃんには聞こえてないのかもしれない。
どうすれば……！
「大丈夫」
ぽん、と私の肩に優しく置かれた手。
「アヤノさん……！良かった、こっちに来れたんですね！」
夢を通してアヤノさんの能力を使い、私に伝えられた記憶。
アザミさんの、マリーの、メカクシ団の皆の記憶。
そして今も尚ここにある皆の想い。
「大丈夫……皆の想い、私が全部マリーに伝える。
マリーは……私達は、独りなんかじゃない……！」
「かける蛇、今更出てくるなんて……
まぁいい、お前も片付けてやる！」
こちらに突進してくる冴える蛇。
だけど私はもう怯えて目を瞑ったりしない。
「……お前、何をした……？！」
赤みがかった視界は静止しておらず
思い描くのは、動きの終着点では無く経過。
こちらに向かう推進力があるのなら、それに対して反対の方向に
同じだけの力をかけ続ければいい。
そうすれば、ほら。
「何故……体が動かない……！」
そうしている間にも、マリーちゃんの目からは大粒の涙が溢れて
うねっていた髪が大人しく動きを止めていく。
「女王、繰り返せ！また幸せに過ごしたいんだろう？！
友達とか家族とかいうやつと！」
「何言っても無駄だよ」
冷ややかに言い放ったアヤノさんが、マリーちゃんの手を取って立ち上がる。
「ごめんなさい……私、私は……！」
「大丈夫だよ、マリー。それより終わらせなきゃ。
……皆が待ってる」
アヤノさんの言葉に私も頷いてみせる。
「お姉ちゃん……Aちゃん……皆……」
一つ深呼吸して、マリーちゃんが叫んだ。
「来い！カゲロウデイズ！！」
その瞬間、大きく口を開けた闇が私達を呑み込んだ。
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做音 - 31.終焉 の終わり部分を修正、お知らせ のページの投稿をしました。 (2019年1月28日 7時) (
レス) id: ad1c6452f9 (このIDを非表示/違反報告)
做音 - ありがとうございます(^∀^*)頑張って更新しようと思います (2018年7月29日 9時) (レス) id: ad1c6452f9 (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - 面白いと思います！続きを待ってます！頑張って下さい！ (2018年7月25日 14時) (レス) id: 63855d00f0 (このIDを非表示/違反報告)
做音 - ↓あはは、「す」が抜けてますね(汗)脱字ｪ…… (2018年7月24日 0時) (レス) id: ad1c6452f9 (このIDを非表示/違反報告)
做音 - お気に入り登録50人越えありがとうございます！更新は相変わらず遅いでが、気長に待って頂けると嬉しいです…… (2018年7月21日 14時) (レス) id: ad1c6452f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：做音 | 作成日時：2017年11月25日 19時
