【北信介】北くんと、

＊ 帰宅。 ページ23

.









『ただいまーっ』


「おかえり、遅かったな」









講義が終わってから即バイト。


今日はいつもよりもお客さんが多い気がして大変だった。




鞄を放り捨ててソファに倒れ込む。


もうちょい大事に扱えや、と言って鞄を拾った信介くんにごめんと平謝り。









『あーーー疲れた、もうわたしソファと結婚する』


「…ほうか、俺とは結婚してくれへんのか」


『えっ』









がばっと起き上がると片手にわたしの鞄を持った信介くんが 真顔のまま反対の手を顎に当てて。









「悲しいなあ、俺は誰と結婚すればええんやろか」


『いや、ちょ』


「バァちゃん、結婚式楽しみにしとったんやけどなあ」


『ごめんってば！ていうかちょっと楽しんでない？』


「どうやろな」









口角を上げた信介くんはわたしに鞄を手渡すと「ほれ、動きたくなくなってまうやろ」と 早く鞄を置いて着替えてこいと告げた。









『うーーー』


「うーやない」


『いだっ』









デコピンを食らい仕方なく立ち上がる。


でも不思議とさっきよりも身体が軽い気がして、信介くんパワーなのかなとか思ったり。









.

＊ 巻き髪。→←＊ おひさまの香り。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す