* 冬の日。 ページ13
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Aと初めて会ったのは、高二の雪の降る寒い冬の日やった。
その日は月曜日で朝練がなくて。
雪のせいでバスが大幅に遅延しとった。
『…あの、稲荷崎の方ですか』
バス停の前で突っ立っていた俺に声を掛けたのは、焦げ茶のボブがよう似合う 同じ稲荷崎の制服を身にまとった女子生徒。
寒そうにマフラーに顔半分を埋めて、自分も同じ制服着て 見慣れとるはずやのになんでそないなことを聞くんやろ、と疑問に思った。
彼女の名前は立木A。今日から稲荷崎に転校してきたのだと 彼女は言った。
『バス待つの、嫌いだなあ』
彼女が転校してきて数ヶ月が経ち、同い年やった俺とAは三年生になった。
朝練のない月曜日は 彼女とちょうどバスの時間が同じになって。クラスの違う俺たちは1週間のうちに1回しか会わん、そんな関係やった。
時刻表と左手の腕時計を見比べて Aがため息をつく。少し伸びた彼女の髪が 春の柔らかい風に吹かれてふわりとなびいた。
「電車とはちゃうねん。遅れるときもあるやろ」
『…そうだけど』
確かに、バスの遅れを待つのはあまり気持ちのいいものではない。
…でも 彼女と話す時間が伸びるなら、少しくらい遅れても構わない、と。
思うようになったのは、一体いつだったか。
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狼 - はぁ……貴方は、なんてものを…作ってしまったんですか…もう、私、死んじゃいますよ…?いいんですk(鼻血 (2020年3月31日 14時) (レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
柚香 - さいっこうです!!一瞬で,北さんファンになりましたっ!!!!ほんっとうに最高です 応援しています!!これからも頑張って下さい!! (2020年2月23日 20時) (レス) id: 468e550ccc (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - コハクさん» コメントありがとうございます!本日から番外編始まりますのでお待ち頂ければと思います。次作の方もご覧頂けたら嬉しいです~! (2019年12月8日 9時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
コハク(プロフ) - 完結おめでとうございます!番外編も楽しみです!次作はどっちも見たすぎますね泣楽しみです!! (2019年12月7日 22時) (レス) id: c12ffb0ac2 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - ティラミルクさん» ティラミルクさん、いつもコメントありがとうございます…!少しでも北くんの優しく甘い感じが出せてたら嬉しいです泣 ありがとうございました! (2019年12月7日 21時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月埜 | 作成日時:2019年11月9日 22時