【北信介】北くんと、

＊ 告白。 ページ45

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「待って、くれ」









あの、あのな。


今から俺、おかしなこと言うから。


お前の記憶に 確実に残る、どうしようもないくらい おかしな話、やと思うんやけど。









もうすぐで卒業やって、さっき俺言うたやんか。


卒業したら、バス、同じにならんくなるやろ。


当然、会うことなんてなくなるやんか。


そう思うたら なんや、変な気持ちになってしもうて。









お前と会わんようになっても、たぶん普通に生活していけんねん。


でも、でもな。




１日中なんてきしょいことは言わへんけど、１日のうち、１分でも、１秒だとしても、絶対どこかでお前のこと思い出してまう。



ほんで、


バスん中で話したこととか いっつもバスの時間ギリギリに来るお前を叱ったこととか 思い出したりして


会いたくなってまうと思うねん。


やっぱり、隣(ここ)に居ってほしいって、思ってまうと思うねん。









…俺な、お前のこと、好きなんや。




人のことが好きやなんて、思ったこともないんやけど。


こういうことなんやって、全部、お前が教えてくれたんやで。


ほんまに、おおきになあ。









『北くん、ずるいよ』









わたしの頬に赤みが差した頃。


目の前の北くんが、わたしをふわりと抱きしめた。









『わたしも、わたしもね。


北くんのこと、好きなんだよ』









人のことが好きだなんて、思ったこともなかったけど。


こういうことなんだって、北くんが教えてくれたんだよ。


ほんとに、ありがとね。









わたしがそう言うと、腕の力を緩めた北くんが、酷く綺麗な顔で微笑んだ。









「…なあ A。


＿＿＿俺と、付き合うてください」









北くんと、付き合った日の思い出。









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