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『...ごめん、今、ちょっと、...だめかもしれない』
北くんの放った言葉をゆっくり飲み込んで、それでもまだ動揺を隠しきれない。
数十秒と時間をかけてようやく捻り出した声は腑抜けていた。ふらりと視界が眩んでその場にしゃがみ込む。
膝に腕を組んで顔を埋めた。呼吸が苦しい、熱い。
「...嫌やったら、突き飛ばして」
砂利を蹴る音がして、頭上から甘く掠れた声が聞こえたと思えば ぐいと肩を引き寄せられた。
北くんは同じようにしゃがみ込んで肩に私の頭を預けると、くすりと笑って後ろ頭を撫でる。
「...なあ、返事聞いてもええ？」
『.....言わなくてもわかる、でしょ』
「内田の口から聞きたい」
嫌だったら突き飛ばせ、だなんて言って 突き飛ばせないのを知っていて抱き締めているのを私は知っている。相手が嫌がることはしない北くんだから。
北くんに告白したあの日から、私は北くんを諦めることなんてできなかった。ずっと、ずっと好きだった。
『.....私も、北くんが好きです』
「うん」
『北くんと、付き合いたい、です』
「...うん」
北くんが抱き寄せる腕を強めた。緊張と、両想いになれた嬉しさと、ふわりと香る優しい匂いにくらくらしそうで さっきから心臓がうるさすぎる。
「内田に謝らないかんことがあって」
『...なに？』
「...俺、二年のときからお前のこと好きやってん。ずっと前から両想いやってんな、それでも 告白してくれたとき断ってもうた。ほんまに、ほんまにごめん」
聞いたときに思い出したのは、北くんが私をふったときの言葉。「今は部活と勉強が優先やから」と。
確かに北くんはそう言った。...そうか、「今は」。
『...私北くんにふられて泣いたんだからね』
「らしいな。...許してくれるか？」
『許さない』
「ふは、どないしよ」
からから笑った北くんの息がくすぐったい。北くんの肩に顔を埋めると、再び後ろ頭に手を当てられる。
「待っててくれて、…俺のこと好きでいてくれて、ありがとうな」
『ほんとだよ。…もし私が北くんのこと好きじゃなくなってたらどうするつもりだったの』
「そない簡単に好きやなくなってまうの？」
『ちが、...もしもの話じゃん』
「どうもせえへん、いつも通り過ごすだけや」
「ほんで、...ちょっとだけ後悔したかもな」
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はやみこ - 北さん…かっこいい！とても素敵なお話でした。 (2020年5月24日 12時) (
レス) id: d7eec8a8e8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - えええ、大耳くん？？？それは意味深だよぉぉ。君も素敵な男やなぁ。これぞ甘酸っぱいお話ですね。誰かの恋の裏には言い出せもしない失恋が隠れてるのかな何て勝手に想像してしまいました。 (2020年4月30日 23時) (レス) id: 8c1d6118a6 (このIDを非表示/違反報告)
氷水(プロフ) - うわあああ…たまたま見つけて読んでしまいましたが、とても素敵でした…素敵な北くんのお話をありがとう… (2020年3月26日 1時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
an20080321(プロフ) - もうさいっっっこうです！！素晴らしい作品ありがとうございました、、！！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: ee660bdd63 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - ありすさん» ありすさんはじめまして、ありがとうございます...！！この作品で少しでも多くの方に北くんをもっと好きになって下さったら嬉しい限りです。コメントありがとうございました！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月埜 | 作成日時：2020年2月14日 22時
