第二十七訓 雨 ページ34
Aside
「...さん!...Aさん!!」
雨の音が途切れること無く続く中必死に名前を呼ぶ声 と体を揺すられる感覚にゆっくりと意識が浮上する
A「...おきた...さん......?」
私が名前を呼ぶと安心したようにふうっと息を吐き、肩に置かれた手から力が抜けるのが分かった
A「どうして沖田さんが…?」
沖田「旦那達からAさんが出掛けたっきり帰って来てねェって聞いたんでィ、事情はよく分からねーが…無事で良かったァ…」
辺りを見回すと自分のよく知らない場所だった
記憶は曖昧だけど、多分あの後私は気を失ってそのままここに捨てられたんだろう
それは見知らぬ団員かな...それとも神威なのかな...
A「そうだったんだ…心配かけてごめんね…………」
沖田「…」
A「ほんとうに大丈夫だよ……はは……」
沖田「無理に笑わなくてもいいんでィ」
A「え…?」
沖田「俺ァ事情をなんも分かっちゃいねーが、Aさんが本心で笑っちゃいねーことだけは分かってらァ。泣きたいなら素直に泣けばいいだろィ。もっとも、この雨じゃ誰にもバレねェだろうがなァ…勿論俺にも」
あぁ、私やっぱり嘘ヘタなんだなぁ…
目頭が熱くなり生暖かい液体がポロポロと溢れ出ては雨と混ざって地面に落ちる
家族を元通りにしたい
神威を家族に還らせたい
ずっとそう願っていた
けどそんな綺麗事みたいなことじゃなかった
私はただ…
あの家からみんなが離れていくのが寂しかった
独りになるのが怖くて必死に繋ぎ止めようともがいてた
最後の希望も手からすり抜けて
もう…届かないかもしれない…
耐えきれなくなって沖田さんの胸に顔を埋める
沖田「…!?…なっ…Aさ」
A「うぅ…おきた…さんっ…少しだけこのままで…ヒグ……お願い…っ」
沖田「“ 雨 ”がやむまで…好きにしなァ…」
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雫(プロフ) - 華姫さん» こちらこそ、読んでいただき嬉しい限りです。私も更新頑張ります(笑) (2021年9月9日 0時) (レス) id: d4a7c4c606 (このIDを非表示/違反報告)
華姫 - 雫さん» 雫様、コメントありがとうございます!私が神楽の姉妹小説に目覚めたきっかけと言っても過言ではない『神楽の2歳の妹が可愛すぎる件について』の作者様が私の小説を読んで、しかもお気に入り登録もしてくださるなんて…もう幸せです。沖田の妹の方も更新頑張ります! (2021年9月4日 14時) (レス) id: efc99807a4 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 一番最初のお気に入りゲットです!応援しています。沖田の妹の話も大好きです!頑張ってくださいね! (2021年9月4日 11時) (レス) id: 1486b8d908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華姫 | 作成日時:2021年9月3日 23時