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「ちょっと〜泣かないの〜!
もうっ!いつものAじゃないよ本当に。」
ほらっ、ってハンカチを差し出してくれる綾香。
「本当に、いつものわたしじゃないよね。
自分でも戸惑ってる…」
「玉森裕太は本当に魔性の男だからね笑
ほら、前に櫻井理央と付き合ってたのとか有名な話じゃん?」
「えっ有名な話なの!?」
そんなの初めて聞いた…
そうか、2人の交際はみんなが知ってるような事なんだ。
「週刊誌に撮られたこともあった気がするよ。
あの子もなかなか男遊び激しいって聞くからねえ笑」
わたしの知らないことばかり…
今まで他人の恋愛だとか浮ついたことに興味がなさすぎた。
「とにかく!なんかされたら言いなよ!
ボコボコにしてあげるから!」
「ふふっ、ありがとう!」
なんだかんだで優しい綾香に救われる。
わたしが勝手に嫉妬して悲しくなってるだけ。
付き合ってるわけでもなんでもない。
わたしは玉森裕太にとってただの
『都合のいい女』でしかない。
それで良かったはずなのに、
勝手に好きになって、勝手に傷付いた。
綾香と解散して、ひとりで帰路につく。
この間まで春の陽気だったのに今は違う。
夏の匂いがする。
そうか、わたしは
春、恋に落ちて。
気がついたら季節は夏になろうとしていた。
しばらく玉森裕太とは撮影もない。
寂しいような、気持ちに整理がつきそうでいいような。
でも、会いたい。
顔が見たい、抱き寄せられたい。
わたし、玉森裕太という底無し沼に嵌っている。
抜け出せない沼。
玉森裕太の掌で上手に踊るはずが、
それすらできないくらい嵌ってしまっている。
会いたい、会いたいよ…
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作者名:えむたま | 作成日時:2020年5月26日 2時