春、恋に落ちて。2 (ページ4)

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54 Yuta side ページ4

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「ちょっ…泣くなよ…」

突然泣き出す理央に焦る俺。

「だって嫌なの…裕太くんがあたし以外を好きになるなんて嫌…そんなの面白くないもんっ」

「…自分勝手だな。」

ふざけんなよ。
俺のことは散々振り回して傷付けて、
その俺が他の人好きになるのは気に食わないって…

「なんだよそれ…」

思わず机をばんっと叩いた。

「え？裕太くん…？」

「なんだよそれ！お前のせいで俺はっ…」

その時はっとした。

_____俺のお気に入りが他の奴としてたら面白くない。

俺もそう言ったことがある、Aに。

…そうか、こんな気持ちなんだ。
こんな自分勝手な奴に振り回されて、傷付けられて、それでも好きで。
A、どんなに辛かっただろう。

俺は、
理央にされたことを他の人に、
Aにしてたんだ。

そうわかった瞬間、体の力が抜けた。

「…もう帰るわ。」

「やだっ帰らないで！
あたし本当に今度はちゃんと裕太くんのこと好きだから！」

なんだよ＂ちゃんと＂好きって。

さっきから理央の言葉に突っかかるたび、
俺も言ってることだ、と思う。

「…もう俺に関わんないで」

そう言い残してお店を出た。

全部、理央にされたことを他の人に仕返してた。
傷付きたくない一心で。

情けねえな、ほんと。

タクシーを捕まえて、スマホを開き
［今から会える？］
と連絡した。

いま一番謝らなきゃいけない人に。