春、恋に落ちて。

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特定の人と関係を持ってるわけじゃないけど、どうして玉森裕太に他の男切ってなんて言われなきゃいけないんだろう。




きっと今までの女の子たちは素直に聞いていたんだろう。




わたしがそこまでする理由はない。
でもまた会いたくないか、と言われたらそうじゃない。
さっきのあの表情でこの関係を続けたいなと思ってしまったから。




好意じゃない、と思う。
同業者で話も合うし、容姿は好みだし、それだけ。




玉森裕太の腕の中でそんなことを思いながら眠りについた。




翌朝、目を覚ますと玉森裕太がベットに腰掛けながら電子たばこをふかしていた。




「おはよ…たばこ吸うんだ」




「あ、Aちゃんおはよ。
臭かった？ごめんごめん。」




「ううん、大丈夫。なんか意外で。」




「アイドルもたばこくらい吸うよ笑」




ふーっと煙を吐いて窓の外を見つめる玉森裕太。
綺麗な顔してるな、なんて思っちゃった。




たばこを吸い終えた玉森裕太がわたしにちゅっとキスした。




たばこの匂いがする。




「どう？また俺に会いたくなった？」



自信に満ち溢れた顔でこちらを挑発する。




「んー、裕太くんもわたしに会いたくなるんじゃない？」




「言うじゃん笑
俺はAちゃんのこと気に入ってるし、また会いたいよ」




「そっか。わたしもまた会いたい。」




「ふふ、俺の勝ちだ。
俺さっきシャワー浴びてきたから着替えたら行くね。」




ワイシャツに袖を通して大きなハットを被って玉森裕太はホテルから出て行った。




玉森裕太の笑顔のせいでわたしの胸は高鳴る。
はあ、ちょっとかっこいいな。




玉森裕太って遊び人だけど悪い人じゃないのかも。




だって昨日わたしが脱ぎ散らかした服が綺麗にたたまれてる。




なんだ、ちょっと好感度上がっちゃうじゃん。

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