春、恋に落ちて。

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お風呂を出て髪を乾かそうとしていたら、玉森裕太が「俺がやったげる」とわたしの手からドライヤーを取った。




「え、いいの？」




「うん、たまにはね。」




お言葉に甘えてやってもらっている最中、鏡越しに玉森裕太の顔を見た。




癖なのかな？
唇をぷくっと突き出している。
ちょっと可愛いなと思って見ていたら、鏡越しに目があって




「なに笑ってんだよ」



と怒られた笑




髪を乾かし終えリビングに戻ったら、
「飲むぞ〜」って缶ビールを持ってきた。




「さっきあんなに酔ってたのに！？
やめときなよ！笑」




「いやだ、今日はいらいらするからとことん飲む」




「明日起きれるの？」




「だって明日の撮影14時からでしょ？」




ぷしゅっと缶のプルタブを開けて、ぷはーー！なんて言ってる。




それからも玉森裕太は櫻井さんのことを話しては怒って、時折悲しそうな顔して。




そんな玉森裕太も見て勝手に落ち込むわたし。
彼女でもなんでもないのに嫉妬心が出てくる。




「理央どんなつもりで今日来たんだろ。
俺のこと馬鹿にしに来たのかな？」




「そんなことないんじゃない…？
また裕太と一緒にいたくなったとか？」




「…だったらいいのにな。」




小さい声だったけど、確かにわたしの耳に入ってきた。




そっか、まだ好きなのかな。




「でも、あいつといると振り回されて傷付くから付き合ったりしないよ？」




そう玉森裕太は付け加えたけど、本心はわからないし。




「俺にはAがいるから」




わたしの頭を撫でてにこっと笑って見せる。




わたしは都合がいいだけ。
自分でもちゃんとわかっている。




「ん、裕太の好きにして笑」




精一杯のわたしの強がり。

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