春、恋に落ちて。

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思いを伝えてから1ヶ月が経った。
その間も玉森裕太とは何度か体を重ねた。




あれっきり「気持ち」を伝えることも、伝えられることもない。




落ち着くまでは…って玉森裕太も言っていたし、
わたしからアクションを起こすことは避けている。




そして、人気アイドルの玉森裕太とモデルのわたしが日本人初アンバサダーを務めると発表され、世間で大きな話題になった。




それもあって仕事は激務を極めていて、玉森裕太と仕事をする機会が増えた。




朝から晩までインタビューや撮影で忙しくて、一緒の撮影だからってどきどきすることもなくなった。
いちいち、どきどきしていられない。




お互いに疲れてるのもわかっていたから連絡も取ることもなかった。




撮影の合間に「疲れたね」とか些細な会話を交わすだけ。




あまりにも何もなさすぎて、この間「気持ち」を伝えたのが幻のようにすら思える笑




そして今日も朝からスタジオで撮影とインタビュー。




撮影の待ち時間、お疲れモードの玉森裕太はぼーっとしながらたばこを吸っているし、わたしはうたた寝。





だらだらしていたら、前室の外からスタッフさんたちのざわめきが聞こえてきた。




そんな声に反応する気力すら残っていない玉森裕太が(ちょっと見てこいよ)とわたしに目配せする。




仕方なく前室を出て覗いてみたら
スタッフさんたちに囲まれ、女優の櫻井理央がいた。




うわ！本物だ！
今大人気の女優さんで本当に可愛くてわたしもインスタをフォローしている。
一応フォロバされてるけど、初対面だ。




一気に眠気もぶっ飛んでテンションが上がる。




そんなわたしに気がつくと
「わ〜初めまして！」と言って握手をしてくれた。




「初めまして、Aです！
お会いできて光栄です！」




本当に好きな女優さんだから嬉しい！




「櫻井理央です！あたし、Aさんのインスタ見てますよ〜！」




「えっ本当ですか！わたしも櫻井さんの拝見してます！」




「ありがとうございます〜、あ、裕太くんは？」




裕太くん…？
あ、玉森裕太のこと？




「あ、玉森さんなら前室にいますよ！」




スタッフさんが「開けていいよ」と合図するので前室のドアを開けた。




その瞬間、櫻井さんは玉森裕太のもとへと小走りして





「久しぶり〜！」




そういって玉森裕太にハグをした。

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