春、恋に落ちて。

34 Yuta side ページ34

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昨日、勇気出して久しぶりにAにLINEしたのにそっけなくて落ち込んだ。
今日も現場で俺と会ってもあっさりしてるし。




なんだよ、俺だけかよ。
俺の心 今もこんな 胸を揺らすのに。
Aはもう切り替えられるのかよ。





ピアス、置いていったくせに。




そんな気持ちもしまいこんで、撮影が始まった。
俺にとってすげえ大きい仕事。
俺もすきなブランドだし、その広告塔として仕事できるのは本当に嬉しい。




Aと一緒に撮影に臨む。
ふたりで並んでポージングしたり、見つめあったり。
あ、全部かっこつけたやつね。笑
ブランドのバッグを持ったり、着替えたり、脱いだり、忙しいけど超楽しい。




Aの腰に手を添えたりするショットは変に力が入った。
ここにいるスタッフさん、カメラマンさん、マネージャー…





みんな知らない。俺たちのこと。




俺たち2人だけが知ってる、俺たちの秘密。




都合の良い関係の俺たちが
カメラの前で2人並んでポージングしてる。




俺は意識しちゃうのに、Aは澄ました顔。




一回カットがかかって、Aがメイクを変えるとかなんとかで1時間空き時間ができた。




俺も衣装を全部脱いで、喫煙所へ向かう。
さすがに衣装をたばこ臭くはできないからね。




切り替えなきゃってわかってるのに、
撮影で触れてるだけなのに、
ああ、俺ってばだめだな。




深いため息。




てか、モデルの仕事してる時のAはいつものAと違うんだな。
本当にキリッとしててかっこいい。




俺も頑張らなきゃ。
Aがちゃんと切り替えてやってるのにこれじゃだめだ。
気合を入れ直して撮影へと戻った。




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それから5日間の撮影をおえ、クランクアップ。




これからも定期的に撮影はあるみたいだけど、とりあえずのところはひと段落。




この撮影期間、Aとは撮影の時以外本当に喋らなかった。
喋りかけるなオーラすら感じたし。




もう本当に終わったのかよ。
お互いの気持ちに知らないフリしたまま？




でも、これからふたりで仕事するのにそんな感情持ってちゃだめなんだよな。
周りに気づかれたら困る。
だからAはそっけなかった。




なんなんだよもう。
遊んでたはずの俺が遊ばれてんの？
なんで俺こんな本気になっちゃってるわけ？




ピアスはわざと置いてったくせに。
まじ意味わかんねえ。

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