春、恋に落ちて。

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わたしは玉森裕太の気持ちに気がついてしまった。
そして玉森裕太がわたしの気持ちに気がついていることも知った。




そこからはお互いになにも言わないでベッドへと雪崩れ込んだ。




好きだと認めたら、お互いに苦しめ合う。




今までの自分たちのふしだらな関係をお互いに知っているから。
そしてわたしたちは芸能人だから。




求め合っても結ばれない。




玉森裕太の腕の中で朝を迎えた。




ベッドから出てわたしに背を向けながらたばこを吸う玉森裕太に話しかけた。




「もう、会わない…？」




「わっ、おはよ。なに急に笑」




ふーっと煙を吐いて、また煙を吸い込む。




「いや、なんとなく…」




こんなこと聞いて馬鹿みたいだねわたし。
こういうこと聞く女、嫌いなのも知ってたのに。




いざ玉森裕太の気持ちに気がついたら、会えなくなるのが怖くて仕方なくなってた。
本当にロクでもない男。
好きになったら傷つく。その通りだ。




「…大丈夫、会うよ。」




そういってわたしの頭を撫で、玉森裕太はシャワーを浴びに行ってしまった。




お互いに好きなのに、その気持ちに蓋をして。
わたしたちってなんて馬鹿なんだろう。




玉森裕太がシャワーを終えて、わたしも浴びさせてもらった。




綺麗にしてあるなあ、浴室も。
…ここにいろんな人呼ぶからかしら。
なんて考えてしまう笑




お風呂から出たら玉森裕太はソファで横になって携帯をいじってた。
わたしの姿を見て「そろそろ行く？」なんて言ってくる。
遠回しに帰ってって言ってるんだろう。




言われた通りわたしは帰路へとついた。




もう会ってくれないだろう。
わたしにだってそんなことわかる。




でもしょうがない、わたしが約束守れなかったから。




朝の冷たい空気がわたしの濡れた頬をそっと撫でた。

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