春、恋に落ちて。

16 Yuta side ページ16

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俺ってばまじで最低だな…笑
女を振り回すのが好きって直接言ったの初めてだ。




普通の子ならそれだけですっげー嫌そうな顔するのに、Aはそんなに気にしてなさそう。




めっちゃ楽。都合の良い関係ちゃんと理解してくれてる。




「あの、わたしそろそろ帰るね」




Aがベッドから出て俺に背を向けながら下着をつけていく。




「えっ、帰るの？泊まっていけばいいじゃん。」




ふわっとAのことを後ろから抱きしめる。




「わっ！びっくりした…
いやー何も持ってきてないしさ」




「そっか、わかった。
でもさ…」




くるりとAを俺の方に向かせて抱きしめ直す。




「なに？」って俺を見上げたAにキスした。




「次は朝まで一緒にいて」




「…ふふっ、わかった。」




ちょっと照れたようなその顔が可愛くて、もう一度キスした。




玄関までAを見送ってからシャワーを浴び、ベッドへ横になる。




さっきまでAを抱いていたベッド。




まだAのつけていた香水の匂いが残ってる。




…なんでAの匂いまでちゃんと覚えてるんだろう、俺。




遊ぶだけの女のこと、家にあげたことなかったんだ。
なのにAのことは家に迎え入れた。




同業者で、こういう関係を理解してくれるからかな。




いつもの俺じゃないみたいだ。




そろそろ寝るか〜って、ふと、ベッドを見たらピアスが落ちてる。




拾ってみた、俺のじゃないぞ？




ブランドのロゴの入った小さめのピアス。




Aに連絡してみる。




［ピアス落としてない？うちにあるんだけど、Aのじゃない？］




すぐに［わたしのだ！片方なかった( ; ; )］って返事が来た。




［じゃ、今度会ったら渡すね。］




また会うきっかけができた。




俺、Aに会うのが楽しみになっちゃってる。
俺が振り回すつもりが、会いたくなっちゃってる。




でも、Aは俺のことなんかすきにならない。




だってあんなに釘さしておいたもん。
「俺のこと好きになんかなるなよ」って。




もう本気の恋愛なんかしたくない。
傷つくのもごめんだ。




お互いに好きにならない方が俺たちはいいんだ。

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