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38* ページ41

『…ん』



ぼや〜と視界が滲む。



ぐにゃりと曲がる視界が気持ち悪くて、

もう一度目を閉じようとする。







山姥切「目が覚めたか?」






無感情のようで、何処か優しい響きを持つ声が降ってくる。





起きなければ。




その意志に反して瞼は重く、
眠りの世界に誘われてしまう。





…ごめんなさい、山姥切さん。
もう少しだけ眠らせてください。



なんて思っていると、






山姥切「前田も、そんな所に立っていないでこっちに来い」







私がはっきり目覚めたと思っているらしい山姥切さんが、前田さんを呼んだ。





前田、さん。


その単語が、眠りに打ち勝ったようで、

次第に鮮明に視界が広がった。






いつの間にか被っていた柔らかい布団を押し上げて座り、周りを見渡す。



私1人にはやっぱり広すぎる部屋だ。



少し遠い襖の近くには前田さんの刀がふわり。

私の枕元には山姥切さんの刀が置かれていた。




彼らが人の形をしていて、

それが私にも見えたならば、


このだだっ広い部屋も少しは寂しくなくなったはずだろうに。


と寝起きの頭でぼんやりと思った。




それと同時に、

自分の記憶では、布団を敷いた覚えがなかったため、本来は眠るときではなかったのだと思い出す。





『…すみません、寝てしまっていたみたいで』




山姥切「気にしなくていい。初めて神力を使って疲れる審神者も少なくないからな」



山姥切さんのフォローはいつも心に沁みて有難い。


『はい…』としか返すことが出来ず、そのまま黙り込んでしまう。







無言が流れる。



気になることがいっぱいある。



昨日までのことがはっきりと思い出せないこと。

私は神力を使うことが本当にできたのかということ。


それに、前田さんのことも。




私がもっと気の利いたことの言える人間であれば。

この無言も早々に断ち切れたであろうに。
















山姥切「前田に、主のことをきちんと説明していなかった俺が悪かったんだ」



ぽつり、と、隣で山姥切さんが呟いた。

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ユウカ(プロフ) - 愁(しゅう)さん» 初期刀まんばちゃんなんですね!私は宮崎と同じむっちゃんです!笑 初期刀って愛着湧いちゃいますよね〜(*^^*) (2016年12月6日 8時) (レス) id: fc6ad45da9 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 花日松さん» いえいえこちらこそわかりにくい表現をしてしまって申し訳ありませんでした!ご丁寧に返信までありがとうございます! (2016年12月6日 8時) (レス) id: fc6ad45da9 (このIDを非表示/違反報告)
愁(しゅう) - 僕と初鍛刀が同じなことに悶えました← (2016年12月5日 22時) (レス) id: 47c2114946 (このIDを非表示/違反報告)
花日松(プロフ) - ユウカさん» そうだったんですか!すみませんちゃんと見てなくて! (2016年12月5日 13時) (レス) id: 6d8f5ab43f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 花日松さん» コメントありがとうございます!冷却材のほうは一応31話のほうで書いているのですが、作者の解釈で大変わかりにくい表記になっていますね…。申し訳ありません!今後はわかりやすいように尽力します!更新頑張らせて頂きます! (2016年12月5日 12時) (レス) id: 090ea0c50e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウカ | 作成日時:2015年9月3日 21時

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