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前田さんとは打って変わって大きな音を立てて開いた襖。
・
ふわり
・
…今、一瞬だけ、大きな真っ白な布が…。
幽霊、なんて非科学的なものを信じている歳ではない。
それに本当にあっという間だった。
次に瞬きをした後には前田さんの抜刀された刀と、山姥切さんの刀が浮いているだけの空間が広がっていた。
さっきの白い布は何だったのだろう…?
山姥切「前田、落ち着け。刀を戻せ」
前田「……」
さっきの焦った声はもう落ち着きを取り戻していた。
前田さんの刀が鞘に戻っていくのを茫然と見ていた。
山姥切「…そうだ。それでいい。…主、少し前田と話をしてくる」
山姥切さんの声は気付くと直ぐ近くに来ていた。
私は『はい…』としか言えなかった。
外に言いようがなかったのだ。
山姥切「…安心しろ。主のことを守るとさっき言ったばかりだろう」
それだけ言うと、2人の神様は、
音も立てずに部屋を出て行った。
・
・
襖が閉まってから、1分ほどだろうか?
いや、それとも1時間は軽く経ったのかもしれない。
落としたはずの白衣は、無意識のうちに畳んであった。
いろんなことを考えていた気がする。
でも、それも無意識の中で起こったことで、
何を考えてどういう答えが自分の中で出たのか、思い出せそうにもなかった。
…もう一度、考えてみよう…。
何故、前田さんはあんなに怯えていたのだろう。
私の手と、前田さんの手が触れ合い、彼の手が今日政府で実験したように蒸発するように消えてしまったからだろうか。
私の髪の色がおかしいからか。
それとも目の色がおかしいからか。
スウェット姿で挨拶したのが身に余る無礼であったからだろうか。
後になるほど考えが浅くなり、
最後には、
『やっぱり何にもできないんじゃん私』
前職を退職するまで、散々叱られ、やっと抜け出せたと思った今日も、やっぱり私は役立たずのままだった。
…なんだか、疲れた。
瞼が重くなるのを感じる。
つい最近までこの倍以上働いていたはずなのに。
もう、限界だ。
視界が真っ暗に染まる瞬間、
ふと頭に疑問がよぎった。
『…私の前職ってなんだったんだっけ。
同じ課にいた前田さんって、そんな人いたっけ。
・
…私昨日まで何してたんだっけ…』
相変わらず答えは見つからないまま、
私は眠りに落ちた。
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ユウカ(プロフ) - 愁(しゅう)さん» 初期刀まんばちゃんなんですね!私は宮崎と同じむっちゃんです!笑 初期刀って愛着湧いちゃいますよね〜(*^^*) (2016年12月6日 8時) (レス) id: fc6ad45da9 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 花日松さん» いえいえこちらこそわかりにくい表現をしてしまって申し訳ありませんでした!ご丁寧に返信までありがとうございます! (2016年12月6日 8時) (レス) id: fc6ad45da9 (このIDを非表示/違反報告)
愁(しゅう) - 僕と初鍛刀が同じなことに悶えました← (2016年12月5日 22時) (レス) id: 47c2114946 (このIDを非表示/違反報告)
花日松(プロフ) - ユウカさん» そうだったんですか!すみませんちゃんと見てなくて! (2016年12月5日 13時) (レス) id: 6d8f5ab43f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 花日松さん» コメントありがとうございます!冷却材のほうは一応31話のほうで書いているのですが、作者の解釈で大変わかりにくい表記になっていますね…。申し訳ありません!今後はわかりやすいように尽力します!更新頑張らせて頂きます! (2016年12月5日 12時) (レス) id: 090ea0c50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウカ | 作成日時:2015年9月3日 21時