僕のお嬢様 -２-

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拓「……ん…、」

「…拓弥？拓弥、わかる？」




目を覚ますとお嬢様が顔を覗き込んでいた。その隣には祐基もいる。


頭もズキズキするし、全身が痛む。…しばらく、動けそうにもない。





「……拓弥、何があったの」

拓「………」

祐「拓弥…」

「…言いなさい」




強く握られた手。お嬢様の手は震えていた。きっと、怒っている。その怒りは何も言わない僕に対してか、こんな目に合わせた奴らに対してか。





拓「……お嬢様は、狙われています」

祐「拓弥、」

拓「…こうなった以上無理がある。……帰り道につけられてたみたいで、気付いたら五人くらいに囲まれて。『五十嵐Aを出せ』って……絶対に嫌だって言ったら…」





突然後頭部を殴られて、袋叩き。朦朧とする意識の中で必死に帰って来た。






「……許さない」

祐「お嬢…」

「誰なの？相手は」

拓「それは……」





言えない。言えるわけがなかった。言ってしまったらお嬢様はショックを受けるだろうし、福田との仲も壊れかけない。お嬢様の悲しむ顔は、見たくない。






「拓弥、どうだ調子の方は」

拓「…会長……申し訳ありません、情けない姿をお見せしてしまって…」

「気にするな、先生呼んだから診てもらえ。A、あとは大丈夫だから」

「…でも、」

「拓弥の裸見るのか？」

「………いい」





言葉に困っていると、扉が開いて会長と白衣の男性が入ってくる。会長がお嬢様に席を外すように諭すと、お嬢様は渋々部屋を後にした。




…また、お嬢様に隠し事をしてしまった。





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