切り抜き 短編集

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移籍してから
成績はあまりよくない

というか、成果ゼロ



「ジャップ、身長をいかせよ、ははっ」



チームメイトとも仲良くなれず
強い差別を受ける毎日

オフシーズン、練習してる俺を
休暇中のくせにからかいに来ては遊んでる

あんな奴らに負けたくない

サッカーを続けるためには
結果を示すしかないのだから



北「もう少し走るか…」



藤ヶ谷とは電話も出来てない。
本当は今日、フライトだった。

でも休暇明けの試合に出れなければ

その場で成果を上げなければ
俺には何も残らない

……居場所も何もかも。



北「くそっ…くそっ…！！」



努力して努力するたびに
遠のいてる気しかしなくて

１試合でも多くサッカーがしたい
電話しなくても
名前が届くくらいに。

そう思うけれど虚しくて苦しくて


夢や憧れは

ただ俺を苦しめる


何のために


生きてるんだろう。



そう、

自分を見失って


集中が切れた時、

まともな休憩をせず
過度な疲労を溜め込んだ俺の体は限界だった



北「うっ……！！」

「ジャップ！？」



視界が反転したかと思うと
激しい痛みが足を襲った

周りにいた奴らも
俺の声に驚き駆け寄ってきた



北「ううっ……あっ……あしっ」

「何してんだよ！！誰か監督呼んでこい！」

北「…呼ぶなっ」

「うるせー！病院行くぞっ」



こんなのバレたら、確定だ
チャンスが……



「フライト、キャンセルする必要なかったな」



自業自得な俺を笑う声と
慌てる外野の声

直接頭で響いてるみたいになのに
耳鳴りのような音もなって聴きづらい



北「自分で、ある……っ…」

「……無理するな、行くぞ」



努力も憧れも

才能の前では


何の意味もないんだ



俺はもう



北「くそっ……」



終わったんだ



そうあまりに簡単に受け入れる自分がいた








「分かってるだろうからハッキリ言っとく」

北「……」

「次の試合は出なくていい。契約更新もないと
思っておいてくれ」

北「……はい」






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