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あれからしばらくした日



大「え、今…なんて…」



大学で変わらず接してくれる大倉と
放課後2人きりで歩いていた



北「大倉…、俺と付き合って?」



寒い冬の帰り道
安い手袋は薄くて中の指はかじかんでいる



大「……嬉しい」

北「っ、おい…」

大「大事にする…っ」



人通りもあるのに大倉は強く俺を抱きしめる
その手も声も震えていた



北「…うん」



気の利いた言葉も何も返せないのに
大倉はまっすぐな想いを口にした



大「好き。俺っ、北山が好きやで」



大倉の目には涙すらも滲んでいて

ぎゅっと胸を締め付けるこの感情はきっと愛しい
ただ、それだ



大「北山、今日は側におって…」

北「…うん」



大倉が強く握った手は
少しあったかくなった気がした

帰り道、家とは異なる道を歩いて
大倉ん家に向かう

その一歩、一歩で気持ちを捨て歩こう

だって大事にしたって苦しいんだから
しょうがない。


藤ヶ谷は忘れたかった

なかったことにした


それが全てだ。


むしろよかった

親友という関係を壊さずに
藤ヶ谷の気持ちを知れたんだから


いつのまにか着いた大倉ん家の前
大倉が驚きながら俯く俺を呼ぶ



大「きたやま…?」



下を向いたまま、大倉の服を強く握った

もう、呼びたくない名前が口をついて
出てしまいそうで



北「…大倉っ大倉…!」



涙が溢れ出る

藤ヶ谷、



北「大倉ぁ…」



…藤ヶ谷っ



大「宏光。好きや、好き」

北「俺も。俺も好きだよ、大倉…」



狭い玄関で縋るように大倉に抱き着いた
大倉も受け止めるように俺を抱きしめてくれる

心の中ではどうしたって
違う名前を呼んでしまうのに



大「宏光」



違う奴を想って泣いているのに

藤ヶ谷、



北「……」

大「宏光、ずっと好きや」



平気で抱きしめてキスする俺は汚く濁っている

藤ヶ谷


たい…



北「…好き」



もう傷付きたくないから
あの朝以上に悲しみたくないから

自分の気持ちを捨てる

藤ヶ谷を想う気持ちを大事になんかしない



北「好きだよ…」



大倉と目を合わせると
何となく俺の気持ちがバレてる気がして

少し救われた



北「…んっ、ふ…」

大「宏光っ…宏光…!」



深い口付けの度

ぼたぼたと、溢れる涙を垂れ流す
それはとても可笑しい



北「…大倉」



まるで藤ヶ谷への想いが尽きないみたいだ



北「抱いて」



大倉が強く触れても消えない
あの温もりを

どれとも分からないように強く。

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設定タグ:藤北 , kis-my-ft2 , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2017年11月4日 22時

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