ゆるやかな坂

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北「え！まじ？行くー！」



講義室のドアを開ければ
バカでかくてうるさい声がする



北「あ！藤ヶ谷！」



部屋に入ってきた俺を見つけた北山は
満面の笑顔で俺を呼ぶ

…多分、あれは食べもの関係だな



北「大倉が今日焼肉奢ってくれるから帰り遅くなる！」

藤「あっそ」



まあ、幼馴染歴20年
生まれてこのかたずっと一緒なら嫌でも分かる

小中高とクラスは離れたりしたものの

大学一緒だし、一人暮らしだと家賃高いし
ってことで2人で住みだしたら

もうお互いのこと、分からないことはなくなった



大「悪いな、藤ヶ谷くん。宏光借りんで」



この、イケメンで背の高い関西人は
大学から知り合った大倉 忠義。お坊ちゃん

俺はあんまり話さないけど
北山とはよくごはん行ったりしてる



横「太輔、いいの？」

藤「わた、おはよう。何が？」

横『姫取られちゃうよ？』



朝から小声で変なこと言うのは
高校から親友の横尾 渉

まぁ、わたは俺と仲がいいから
最近は結構この二組みになることが多い



藤『姫って…男だから』

横『えーみっちゃん結構モテるよ？』

藤『…てかそもそも、俺のじゃないから』



確かに北山は同性に告白されることが何回かあった

けど、俺たちはただの幼馴染
それ以上でも以下でもない



北「あ、やっぱ今日無理だわ」



なん…あ、そっか。



大「え！熱あんの？奢ったるのに…」



食い意地なら誰にも負けない北山が
断るからびっくりした



横『やっぱ太輔優先だね』

藤『うるさい』



今日は第２木曜日

それは二人で映画見る日。
仲良く暮らすために北山が考えたルールの１つだ

ルールが変すぎてわたには全部話したことがある



北「今日は映画観る日だから」

大「えー、んな映画見てから行こうや」

北「んーまた今度な！」



はっきり断る北山に
大倉くんは納得行かなさそうだったけど

時間が来たから渋々
自分の受ける授業に向かった



藤「行けばいいのに、焼肉」

北「……」



別に映画なんて明日でもいいんだから



北「映画がいいんだよ、バーカ」

藤「は？意味分かんねー…」



バカって小学生かよ。

約束破らない真っ直ぐなとこ長所だけど
毎月なんて1回くらいいいのに

何気に入学した頃から２年になった今も
1回も欠かしたことないし



北「あ、今日の夜ごはんハンバーガーにしよう！」

藤「じゃぁ借りるのはアメコミだな」



まあ、俺もこの時間は好きだけど

2P Ki→

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