両手を伸ばしてみたけど

27P ページ27

.





藤「あ、日付け変わってるー」

北「うわ。眠い」



座り直し時計を見ると
北山は座り直しながら見て

夜遅いと認識した途端、眠そう笑



藤「どんなスイッチだよ」

北「ん〜………」

藤「俺も眠くなってきた…なぁ、このまま泊まっていい？」




何だか楽しくて

いつも以上に帰りたくなくて


調子に乗った時


振り返ると思わぬ至近距離。




北「……」


藤「……」




お互い驚いて停止


その時流れた空気は

まるでキスをする前の恋人みたいに


甘い錯覚


綺麗な北山の目に吸い込まれるように

近付いた


けど、


北山はすぐに視線を下げる




北「泊まり…？」


藤「うん……ダメ？」




返事をする前に北山は立ちあがり

マグカップを持ってキッチンに行ってしまった


でも、もう分かるよ




北「悪い…今日は、キツイ……」


藤「……」




北山があけたこの距離が

俺が保たなくちゃいけない距離なんだ




藤「……分かった」




これ以上は近付かない






だから…







藤「また明日…？」







これ以上離れないで







北「だな……おやすみ」







距離を空けないで








藤「……おやすみ」







ドアが閉まるのを後ろで感じながら







俺は






悲しそうな君の笑顔を

鍵が閉まった音と同時にかき消した。

28P Ki→←26P

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す