きみときみときみに (ページ10)

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藤「前話した店覚えてる？」

北「ん、あー、…」

いつも通り、お互いのバイト終わり
電車で待ち合わせたら珍しく起きてた北山

でも何だか上の空

藤「今週末空いてたら行きたいんだけど……」

北「んー……」

なんかあったのかな？

グループ課題は順調だし、
最近は悲しそうな表情も見なくなった

今日も、別に悲しそうではないけど……

北「好きな人いる？」

藤「え……なんで…？」

突拍子も無い質問に一瞬固まってしまった

北「んー、いや、何でもない」

そういって1番端に座る北山は
俺と反対の棒の方に体を傾けた

いつもは遠慮なく人の肩使うくせに

藤「……言ってよ、何でも」

北山の伏せがちな目に少し胸が高鳴って
手は伸ばせず、俺の方から北山にもたれかかった

北「……」

藤「北山……？」

何の反応もないんだけど…もしかして寝た？

そう思って顔を上げると
いつもより10㎝は近い距離

藤「……」

でも、それより

藤「……顔赤いよ」

北「う、るせ…////」

北山の思わぬ反応に驚いた

自分からはこんくらい、勝手に近付くくせに
今日の北山は変だ

手で顔を隠して顔を反対に向けても赤いのが分かる

藤「ふふ、変なの」

北「寝るっ////」

何で？

俺を意識したの？

その反応は友達に対するものとは違うでしょ？

そう思ったけど
聞く勇気はまだないし

それでも嬉しかったから、ちょっと笑って
また北山に体重を少し預けて目を瞑った

藤「あ、今週末空けといてね」

北「え、なんで？」

藤「雑誌に載ってた店行こう」

特に何をしたわけでもない

一緒にいるだけ

それだけで同じ気持ちになれるのだろうか

北「……土曜日」

藤「うん、分かった」

少しずつ変わってる気がする関係

ゆっくり

このまま積み重ねていけたら

どれだけ幸せだろうか

藤「北山」

北「なに」

藤「いつでも電話していいよ」

君が幸せなら何でもいいけど

北「……ありがとう」

いつでも

どんな時でも

君から痛みを取り除くためなら

何でもしたいくらい

君が好きだから