きみときみときみに (ページ11)

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昼の手前の時間
天気を気にして窓の外に視線を向けた

雨が降らない雲は

黒くて重そう

ピコンッ

北『もう出る』

今日は、前に北山と美味しそうだと話していた
カツサンドのお店に行く日

ラインが来て俺も慌てて靴を履き
姿見で変なところがないか確認して家を出た

藤「了解、っと……」

未だ、此間の電車で顔を真っ赤にした
北山の顔が忘れられない俺は

北山は今日はどんな顔するんだろう
いつもの笑顔も、ごはんを頬張る顔も好きだ

きょとんっとした顔も可愛い

そんなことばっかり考えていた

藤「う、寒っ…」

もう一枚くらい
着てくりゃ良かったかな

北山はちゃんと厚着してきたかな

マフラーついでに探そうって
提案してみよう

そうしたらもっと長く一緒にいれる
あの日から２日くらい会えてないし

藤「あ」

北「おー」

藤「おはよう」

待ち合わせ場所にほぼ同時に着いた北山は
寒そうにポッケに手を突っ込んで肩をすくめていた

寒いからか表情は硬くて
口を閉じていーっとした北山

北「寒過ぎ。マフラーも手袋も欲しい」

藤「今日探す？」

そう言いながら駅に歩き出した
北山の隣に並ぶと

北「いいの？やった」

俺より背の低い北山は
嬉しそうに笑いながら俺を見上げた

可愛いくて仕方なくて思わず伸ばした手
すぐ気付いて、ちゃんとポケットにしまった

藤「……これ買った店いく？」

北「お、近くにあんの？行きたい！」

もし触れてたら

北山はまた前みたいに赤くなっちゃうのかな
その前に手払われるかな？

いや、は？って顔するかも

北「そんなにカツサンド楽しみ？」

藤「え？」

北「にやけてる。んははっ」

隣に北山いるのに想像でにやけるって……
うわ…罪悪感がすごいな

いやもっとすごい妄想はして……っておい。

違う違う違うっ////

あーっ

北「藤ヶ谷ー？」

藤「……ごめん」

一人で脳内で慌てて
何してんだろ

北「いーよ？」

……北山のせいか

藤「カツサンド楽しみだな」

北「な！」

脳内にカメラのシャッターあればいいのに

藤「あ、そういえば渉が…

北「えー？」

そしたら多分今日で1000枚は写真撮れるよ

北山と話しながら
北山のことばっか考えて

好きになってからもう半年は立つのに

きっとずっと好きだな

当たり前に君を好きと思って

当たり前に可愛いと思って

いつか当たり前に好きといえたらいいな