きみときみときみに (ページ1)

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いつ乗っても混む電車
ドア側に立って外を眺めてた

車内側だと人の顔とか動作が気になるから。

ただでさえしんどいのに。
しんどそうな人たちの顔は見たくない

北「……」

音楽を聴きながら
向かう先は家ではなくバイト先。

家庭教師のバイトで
高3の男の子に現代文と英語を教えてる。

俺が大学入ってから教えてる玉森裕太くんは
素直ないい子だけど宿題はサボりがち。

玉ん家と俺ん家は電車2駅分と近いし

一人暮らしの条件、家賃は自分持ちなので
家庭教師は時給がいいし助かってる。

「ピンポーン」

駅から近いし。

玉「みつ！やっほ～」

北「北山先生だろ？宿題やったかー」

お家の人が留守の日は玉が迎えてくれる

玉「まぁね～」

北「今日はテストからな！」

玉「は？まじ？」

北「宿題やったなら出来る」

玉「そーくる？うへ～」

ほんとに受験生かってくらい
ゆるいとゆーかテキトーというか。

机にふっ潰してうなだれる玉

玉「あ、志望校決めたよ！」

北「お。どこ？」

テストを取り出そうと鞄に向けてた視線を
玉に向けると隣に座る俺の顔を下から覗くように

可愛い笑顔を向ける

玉「おんなじとこ」

北「は？」

玉「ミツせーんぱい」

北「ばーか。受かってから言え」

んふふと笑ってからシャーペンを出す玉

宿題やってこないけど
可愛い弟みたいで憎めないんだよな

北「今度過去問持ってくるわ」

玉「うん」

宿題以外はちゃんとやるしね