リアルな関係。

６話 ページ6

そのままフリーズ状態の私を置いて、

彼女と車で帰っていく大倉君。



そっか、私が大倉君って言った時点で全部終わりだったのか。



もっと嘘をつけばよかった、せめて可愛い声を出したかった、

泣き顔は見られたくなかった、


後悔はたくさんあるけど、何よりも

大倉君の声が冷たくて、笑顔があまりに綺麗で、


プライベートで彼女といるところでファンに泣かれたら嫌だよねって妙に納得。


出来ることなら、こんな形で会いたくなかった。

なんて、会えただけで嬉しくて仕方ないはずだったのに。



放心状態でレジに行って家に帰る。


何も考えなかった、考えられなかった。


家に着くとまずビールを冷蔵庫に入れて、

全部脱いでお風呂に入って、

意味も分からず、お風呂で少し泣いて、



お風呂を出たら、ビールをひたすら飲んだ。


明日も仕事なのに。


途中から泣きながら、それでも飲んだ。


飲んでなきゃやってられない。


テレビをつけて大倉君を見る。



泣いて、飲んで、酔った頭で

どこか冷静な自分もいて。


だんだんと込みあがってきたのは怒りと情けなさ。


なんであんな言い方するの、忘れられるわけないよね？


そんな大倉君に対する怒りと、


私なんでこんなに泣いてるんだろう、

相手はアイドルだよ、彼女だっているよそりゃ。

２５歳のいい歳した女が、アイドルに遭遇したくらいで泣いてさ。


情けない。


最後の方の涙は自分に対する情けなさの圧倒勝利。

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