寄せ集めの僕ら。 (ページ25)

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21話ページ25

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O side

ずっと絵を描く事が好きだった。自由な美術部に入って、好きな時に絵を描くのが俺の楽しみだった。
入部してから3年間をかけて作った作品。それは、幼い頃初めて会った時の翔くんの絵だった。

ようやく今日、完成したその作品。出来栄えは…想像以上だった。

太陽に照らされて、無邪気な笑顔を見せる姿。幼いながらとても綺麗だと思った。今でも鮮明に覚えてる、だからこうして絵に出来たんだ。

…もしかしたら俺は、この時から翔くんに恋をしていたのかもしれない。
でも、この感情は許されない。血は繋がっていないものの、家族は家族なんだ。それに翔くんは、弟達を幸せに…本当の家族になれるように努力してる。俺は…それを邪魔しちゃいけない。

｢…もう、いらねえや｣

この絵を捨てたら、絵を描く事もやめて働こう。働いて働いて働いて、持ってる気持ち全部捨てきったら、翔くんが作り上げる家族に入ろう。そしたらきっと、俺達は幸せになれんだよね。

絵を引き裂こうとした時、入ってくる人の影。それが翔くんだって、匂いですぐにわかった。…あーあ。この絵のこと、バレちった。

仕方ねえから翔くんが聞いてきた事に全て答えて、絵を置いてそのまま美術室を出る。でも靴箱に着いたところで、鞄を忘れたことに気づいた。

(入りづれえ…)

そうは思うけど、鞄はさすがに大事だから、そっと美術室に入った。

｢…っ、智くん…｣

翔くん、何で泣いてんだよ。

｢ごめん…ごめん…｣

翔くん、何で謝ってんだよ。

｢好きだよ…｣

何でそんなに切なそうな声で、俺に好きって告げるんだよ…。

翔くんが抱きかかえる絵を引っぺがして強く抱き締める。何だよ、翔くんも俺のこと好きだったんじゃんか…。

｢智くん…ごめん、ごめんなさい…｣

｢…何で謝るんだよ。お前は悪くねえ…。｣

わかってるよ、翔くんが今考えてる事。きっと、ちび3人の事考えてるんだろ？自分の気持ちが悪い事だって思い込んでんだろ？
…そういうのはもういいからさ。今だけは｢両思い｣でいさせてよ…。