キモチ (ページ29)

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Aran Side

『…A？』

Aが今日はからあげ食べたいって言うから
冷めるだろうと思って注文せずに
いつもあたりの席でAを待った

そして目の前に現れたのは
目が真っ赤のA。

確かにプリント置くだけなのに
来るのが遅くて、おかしいなとは思ったけど

『A、どうしっ…』

「あれ～？あらんまだ食べてなかったの？
食べててよかったのに！
ほら！早く注文しに行こ！」

Aは変に早口で
俺の手を引いて注文の列に並び始めた

列に並ぶとAは俺の前に並び
俺の顔を見ようとしない

『…A？』

学食がざわついているからか
Aは俺の声に返答しない

きっと、Aの精一杯のつよがり

泣いてたの気付かれたくないんだと思った

Aは食べたがっていたからあげではなく
オムライスを頼んだ

逆に俺がからあげを頼んだ

「え？…あらん？」

いつもだったら向かい側に座るけど
今日はAの隣に座った

『…泣いてたの気付かれたくないんだろ、
いいよ、俺、見てないから』

そう言ってからあげを１個、
Aの皿に入れた

「…あらんは優しいよね」

少し震えた声で
Aはオムライスを口にした