12 ページ12
A Side
「あ、Aちゃん」
「ごめんね、待ったよね？」
「ううん、俺も今来たばっかだよ」
しめの浴衣姿は
これでもか、ってくらいかっこよくて
とりあえず、言葉にできないくらいだった
こんな人が今わたしの
隣にいて、しかも花火も一緒に
見れるなんて夢みたいで
「浴衣、かわいいね」
「しめこそ、かっこいいよ」
「ありがとう」
グレーの浴衣に黒の帯
華奢だから
ちょっとダボっとした感じがまたいい
「ん？どうかした？」
どうやらわたしは
しめを見すぎていたらしい
「いや、えっと…」
「ふふっ、俺に見惚れてたの？」
しめは、あざとい。
.
.
.
しめと沢山屋台を回った。
種類をたくさん食べたいから、って
１つのものをシェアした
「あと、10分で始まるね」
焼きそばとたこ焼き、
そしてベビーカステラを買って
花火の見やすい階段に腰かけた
「Aちゃんってさ」
「ん？」
「ううん、やっぱ何でもない」
そういうとしめは
何事もなかったように
タピオカミルクティーを口にした
なんだか、聞き直す
雰囲気ではなくて
なんとなくスルーした
「…あ！始まった！」
初めは小さな赤と緑の花火
次第に大きくなって
色んな色が空を飛び交った
「今の花火さ、いちごの形してなかった？」
「え？ハート型じゃない？」
「うそ！いちごに見えたんだけどなあ」
しめと花火をみてる
それだけのことなのに
すごく、すごく幸せで
「…え？」
左手に感じるぬくもり
しめの右手がわたしの左手を
優しく包んでいて
わたしも握り返すと
さらに握り返してくれるのが分かった
しめを盗み見ると
わたしに気づいてニコッと笑ってくれた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そら | 作成日時：2018年7月20日 22時
