キモチ (ページ1)

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「はーい！今日の実技はこれで終わり！
不安な人は自主練して帰ること！」

最近新しく赴任してきた
少し厳しめの先生の声で
１日の授業が幕を閉じる

「1時間だけでも自主練しとこ…」

阿部A、20歳

専門学生、2年生

将来は美容師になりたくて
迷わず専門学校を選んだ。

いわゆる、美容学生、ってやつ

さっきまで授業が行われていた
この教室は、
もう、どのクラスの人も入れる、
自主練場所になった

…よし！いつものとこ！

カットやカラーの練習がしたくて
場所に決まりはないんだけど、

端から2番目の場所がわたしのお気に入り。

別に意味はなくて、
いつもここでしてたら
居心地がよくなっちゃっただけ。

『おーい！A。帰るぞ』

…きた。

悔しいぐらい整った顔
そして綺麗な声

「…あらん、！」

彼は阿部あらん
言ってしまえば
ただのクラスメイトだけど

同じクラスになって、
『苗字同じ！阿部同士！』
とか言い出して。

一番仲のいい男友達。

『え？もしかして自主練してく？』

手に抱えている
授業の報告の日誌をみて呟いた

「うん、わたしカットの毛先、
未だに綺麗に揃えられないから」

今日できてなかったところ、
チェックして顕○に見せようとした

「…あれ？あらん、
わたしのボールペン知らない？」

『は？知らない。俺の貸そうか？』

そう言ってあらんは
自分のカバンの中を探り出した

「もしかして、これ？」

…え？

同じぐらいの目線から聞こえる
少しだけ響く声。

目を向けると
わたしより少しだけ背の高い
かわいい男の子が立っていた

その子の手には
わたしが最近買った
ピンク色のボールペン。

「あ、これ！です！」

ボールペンを取ろうとすると
その男の子の手に少しだけ触れた

「よかった、！」

そう呟いて
その男の子は背を向けた