月と別れ

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　 チームのみんなが立てない僕を見下ろす


　 それは、とても、冷たい目に見える


　「なんだ・・・？この僕が立てないなんて、そんなはずがないんだ！！」

　 腕に力を込め、起き上がろうとする

　 しかし、足に痛みが走り立ち上がることができない


　 フィールドを強く殴る

　「っ、僕がこうなってしまった以上、チームはバラバラになる！！



　 ――――はっ・・・」


　 もう一度皆を見上げる



　 笑ってる

　 僕を見下ろして


　 僕を、笑っている

　 冷たく


　 冷たく笑っている

　「っもう終わりだ！！」


　 そう叫ぶ


　「まだだＳＡＲＵ」

　 それは優しい声だった


　「まだ終わってない」

　 それはギリスの声だった


　 いつの間にか、皆のあの冷たい笑顔は消えていた


　 とても、優しい笑顔だった

　「そうよ、頑張ってよＳＡＲＵ」

　 メイアが僕に視線を合わせるように膝をついて笑いかける

　「・・・僕にはもう、お前達に誇れる力は・・・残っていないっ」

　「試合時間はまだ残っている、最後まで一緒にやろう」

　「・・・なぜ」


　「なぜって当然だろ」

　「ここまで一緒にやってきたんじゃないか」

　「さあ、いつもみたいに指示してよ」


　「このまま負けるのは僕の美学に反するんだ」

　 ギリスは僕に手を伸ばす

　「それにＳＡＲＵだって、負けるの嫌いだったよな？」

　「・・・」

　 ああ、そうか・・・これが、そうだったんだ


　 僕は間違っていた


　「ＳＡＲＵ？」

　「・・・当然だ、僕を誰だと思っている！」

　 ギリスの手を掴み立ち上がろうとする

　 再び足に痛みが走る

　「うっ・・・ぐ、うっ！」

　「やれるか？」

　「ああ・・・僕も最後まで戦う！うああああ！！」

　 痛みを腹の底から出す叫びで打ち消す

　 立ち上がり皆を見回す

　「お前達と一緒にな！」



　 今分かった、フェーダを繋いでいたのは力を持った者同士だったからじゃない

　 戦える、この仲間と一緒なら



　「さあ行くぞ！！」


　「「おう！！」」






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