TOP4に溺れていく。

奪い愛(全員) ページ26

-A-
｢俺さぁ、Aちゃんのこと、好きみたいなんだよね。｣
真剣な顔でそう言うから、
『え？』
あほらしい声が出た。

全く知らなかった。
いつから？てか、なんで私なの？
私、鈍感すぎ？
｢鈍感だね。｣

優しい笑顔になって私のことを撫でる彼の手は男らしい。

『キ、ヨくん…が、私を…』
やっぱりついていけないよ！
｢別に返事をしなくてもいいよ、言いたかっただけだから。気にしないで、ただのつぶやき程度に思っといてよ。｣

そんなこと、できるはずないのに。

その後の撮影では、なんでもなかったかのようなフリをするので精一杯だった。

キヨくんは、本当になんでもなかったみたいに実況している。

冗談なの？
私、いつか、フリが出来なくなっちゃうよ。

｢Aちゃん、なんかあった?てか、なんかあったでしょ。｣
買い出しじゃんけんで負けて、うっしーと買い出しに2人で行っている時に、そう尋ねられた。

『な、なんで???』
明らかに嘘が下手だな私。
いっそ話してしまった方が楽なのかもしれない。

｢いや、見てたらわかるよ流石に。｣
心配そうな顔で私のことを見てくるうっしーは、いつも私のことを気遣ってくれる。
女子の私よりも気配りができるし、色んなことに気付く。

｢話しなよ、ほら。｣
『な、なんでもないって〜…』
愛想笑いで嘘をつく自分に嫌悪感が走った。
隠す必要は無いはずなのに。
どうして隠してしまうんだろう。


｢キヨに、告白でもされた？｣
図星で動きを一瞬止めてしまった。
｢図星か。様子おかしかったもん。｣
バレバレだ。嘘が下手なのか、うっしーが鋭いのか、今はそんなことは関係なかった。
『うん…なんで、うっしーに、隠しちゃったのかわかんないや…』

そのままの気持ちをぶつけた。
うっしーのことを、信用出来ないと思ってるわけじゃない。寧ろ信用している。でも、どうして…


｢この関係を、壊したくないからじゃない？｣

私のことを、何もかも見透かしている彼の目は、暖かかった。

『…そうかも、しれない…』

怖いんだ。私は。

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