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しかし、結局。
私の逆プロポーズは、大失敗に終わった。
「ごめん、Aとの結婚は、考えてない」
「………えっ?」
「なんていうか…Aと永遠に一緒にいる未来は、想像できないんだよね」
「え、いや、じゃあなんで私と付き合ってるん?」
「なんでって…別れる理由はないし、今が楽しいからかな」
意味わからんわ、と言った私の声は驚くほど小さくて、恋人には届かなかった。
これ以上向き合ってることも辛くて、この人に涙を見せることすら悔しくて、わかった、とだけ伝えてその場から逃げた。
結婚してくれないなら別れる、と私に言われたところで、恋人はきっと、じゃあ別れようと言うのだろう。
それが分かったから、何も言えなかった。
案の定、恋人は追いかけてはこなかった。
鞄の中でスマホが震える。こんな時に誰や、と取り出すと画面に表示されていた名前は"堂前さん"。
今彼の声を聞いたら、抑えているものが込み上げ出きそうだから、電話には出たくなかった。
でも私の指は勝手に動いて、次の瞬間には、あっA〜?と彼の声が聴こえてきた。
「はい…」
『そういえば今日って言うてたなぁと思って。逆プロポーズ。どうやったか気になってん』
「………どうなったと思います?」
『その声の感じは……大失敗かな』
「正解です」
あ〜あ、とわざと茶化して笑う彼に、やめてくださいよ、と泣き笑いで返す。
1度零れた涙は、やっぱり止まってくれなかった。
『今、どこ?』
「もうすぐ家です」
『じゃあ、Aんちの近くの公園で待っといて』
「……え?」
『ピクニックしよ』
「ピ、ピクニックですか?」
『そう。じゃあまたね』
彼は私の返事を待たずに電話を切った。
逆プロポーズを断わられた直後にピクニックて、と思ったけど、このあと1人になると余計落ち込んでしまいそうだった。
きっと彼は、それも分かった上で言ってくれているんだろうな、と思った。
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いと(プロフ) - あすさん» リクエストありがとうございます!設定承知いたしました(^^)だいぶお待たせしてしまうかと思いますが素敵なものが書けるように頑張りますのでよろしくお願いします! (8時間前) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - リクエスト失礼いたします。krmさんで付き合っていて道中でkrm見かけて勇気出して声をかけにいこうとしたら隣には綺麗な女性いて自信をなくしてkrmさんから離れていこうとするのを引き止められるお話読んでみたいです。よろしくお願いいたします。 (5月12日 8時) (レス) id: 1458cfae01 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - 神楽さん» リクエストありがとうございます!高校生設定かしこまりました!誰オチでも大丈夫ですかね?(><)できるだけ長めのお話書けるように頑張ります(^^)! (4月29日 12時) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - myrkとlcdの高校生設定で、友達から段々発展していくお話読んでみたいです!長編だと有難いです…! (4月29日 3時) (レス) id: 4f1d6e068e (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - ユカさん» リクエストありがとうございます!遠距離のお話好きなのでありがたいです(^^)笑 お時間かかりますが書かせていただきますのでよろしくお願いします! (4月28日 15時) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いと | 作成日時:2024年3月6日 22時