[ wrwrd! ] 最近話題の殺人鬼。[ 男主 ] (ページ5)

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日中でありながらも何故か薄暗く、湿っぽい路地裏にて。
とあるスポーツを思わずユニフォームに身を包んだ金髪の男が壁にもたれかかりつつ、煙草をふかす。

「参ったでこれ…」

ここに入った時は確かシャオロンと一緒だったような気がするが、はていつはぐれたのだろうか。
ましてやここがこんな迷路のような路地裏だったとは思いもしなかった。
下手に進めば進むほど出口から遠のいているようで、動くのをやめた。

「いっその事叫んでみるか？」

もう何本目かもわからない煙草を地面に落とすと踏みつけた。
誰もいない虚空に向かって言葉を投げかけるのもいい加減悲しくなってきた。

「ここで叫ぶのはやめた方がいいヨ、お兄さン。」

返ってくるはずのない返事に手に握っていたライターを落としそうになる。
パッと顔を動かすと路地裏の奥に男が立っているのが見えた。
こんな所でまさか人に会うとは。

「誰やお前。」

「それはこっちのセリフかナ、お兄さんみたいな人が来る場所じゃないヨ。」

ゆっくりとこちらへ歩を進めてきた男は、笑顔を浮かべていた。
こんな所であった見知らぬ男にここまで恐怖を感じないものだろうか、と不思議に思うくらい自分の中で彼は穏やかな存在であった。

「ほラ、出口はこっちだヨ。」

「お、おう。」

手招きをする彼に何も言わずついて行く。
信用し難いものではあったがそんな疑惑はあっさりと晴れ、だんだんと多数の人の声が聞こえてきて明るい見慣れた街道へと出ることが出来た。

「いやぁ、助かったわ！ありがとうな！」

「お礼なんかいらないサ、これに懲りたらもう近寄らない事だネ。」

それだけ言うと彼はまた薄暗い路地裏へ姿を消した。
彼が闇に消えるまで見送ると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「あっコネシマやっと見つけたわ！！何してんお前、急に消えんなや！」

「おお、シャオロン。」

「"おお"じゃないねん。」

ずっと探し回ってくれていたのか頬に汗が滑っている。
そんなシャオロンが何やらベラベラと文句を垂れ流しているが、そんなものは耳に入ってこない。

ふらっと現れ、ふらっと立ち去った彼が目の奥に焼き付いて離れなかった。

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