episode２８ ページ30
結局もやもやが晴れることのないまま、翌日を迎えた。
昼過ぎまで寝ていた私は、夕方から身支度を始めた。
メイドカフェは昼間から夕方と、夕方から深夜までの二通りのシフトがある。
今日は、後者の日。のんびりと準備ができる。
ネイルはまだ変えていない、泉くんカラー。
そして、いつも通りのお給仕が始まった。
特に変わった要素はなく、常連さんや初見のお客さんまで、楽しく接客をした。
私はこの仕事が好きだ。
他の仕事では関われない人とたくさん接することができるから。
そして、私を認めてくれる人に出会えるから。
まだまだ1年目の駆け出しメイドではあるけれど、多くの人が私をやれ「かわいい」だの「話しやすい」だのとほめてくれる。
それが、どうしようもないくらいにうれしかった。
だから、初めてだったのだ。
「調子乗ってると痛い目見るよ……超うざい」
面と向かって否定されたのは。
きっかけは、初見のお嬢様に指名されたことだった。
ショコラカフェはSNSでの宣伝にも力を入れているから、初見のお客さんが指名をくれることは決して珍しいわけではない。
ただ、相手が相手だったために驚きを隠せなかった。
「おかえりなさいませ、お嬢様。ご指名ありがとうございます〜」
もちろん仕事は仕事なので、真剣に取り組む。
「……ども」
睨むようにして一瞥をくれてから、彼女はふんっとそっぽを向いた。
こんな態度をとる人は今までいなかったので、少し戸惑う。
彼女は、Knightsファンの間ではそこそこ有名な女の子だった。
名前は──
「さくら……素敵なお名前ですね！」
ショコラカフェはメイドとお客さんの距離を最大限に近づけるために、「メイドを指名して〇〇分お話しできる」システムがある。
ホストの簡略版みたいなものだ。
そしてさくらさん──さくらは、私と話すために指名してきた。
その意図は、さすがの私も察することができた。
「いいよ。そういうお世辞みたいなのは。こっちが金払ってるんだし、さっさと本題話したいんだけど？」
「……わかりました」
さくらは、瀬名泉くんの同担拒否をしている、いわゆる「過激派」オタクだ。
目立つ同担のことをリアルイベントで睨んだり、マウントをとったり。
害悪オタクと揶揄されることもあるくらい、少し小さな界隈の中では有名になっている。
某掲示板で叩かれているところを見たこともある。
私はさくらが同担をにらんでいる現場を遠くから見たことはあったけれど、私自身がかかわったことはない。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
