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episode27 ページ29

DDDがもう1年前だと思うと時の流れの早さを実感する。
いろいろなことを思い出しながら、ソファの上で大きく伸びをする。

今日は、なんだか疲れてしまった。
明日はシフトが入っているし、お風呂にでも入ってリラックスしようと思い立ち上がった瞬間、ピンポーンとまぬけな音でインターホンが鳴った。


「……はーい」

通話ボタンを押すと元気なよく通る声が返ってきた。


『先程ハンカチを落としていたので届けに来たよ!』

「え──ちょっとすみません」

心当たりがすぐには見つからず、自分の鞄の中身を確認しに行った。
確かに今日使っていたハンカチは鞄に入っていなかった。

いつの間に落としてしまっていたらしい。


『む……どうかしたかな? 確かに君が落としたのだと思うのだけど』
「今行きます! わざわざすみません!!!」

走って玄関に向かい、勢いよくドアを開けた。
ありがとうございます! と頭を下げる。


「困ったときはお互い様だよ!!」
「ほんとにすみませ────え!!!?」

ぎょっとして叫んでしまった。
目の前にいるのは、またもESのアイドルなのだ。

ALKALOIDという新人アイドルユニットのリーダーを務める天城一彩くん。
先日、MDMという大きなイベントがあって、それをきっかけに注目されるようになったアイドルだ。


真っすぐな歌声と少し天然な言動が──なんていっている場合じゃない。

あの天城一彩が、私の落としたハンカチを拾って、届けてくれた。


「あ、りがとうございます……!! 天城一彩くん」
「ウム。僕は天城一彩だよ。家まで来てしまったのは申し訳ないと思っているよ、声をかけようと思ったのだけど、どうやら取り込み中のようだったからね」
「お気遣いさせてしまい申し訳ないですこちらこそ……」

取り込み中──泉くんのことだろう。


「あれ──。もしかして、君が"あの"Aさんかな?」


きょとんと首をかしげて一彩くんが突然私の名前を口にした。


「え?」


どうして、私の名前を。
しかも"あのA"って何だろう。

「ごめんなさいどういう──」
「ああ、ごめんなさい、電話がかかってきたからここで失礼するよ。はい、ハンカチだよ」

私にハンカチを渡して、一彩くんはさっさとその場を去ってしまった。
鳴れないスマホを操作して、誰かと通話をしながら。


ハンカチをぎゅっと握りしめる。

なんだか少し、もやもやした。

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咲愛(プロフ) - ツキさん» コメントありがとうございます!始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです!続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします! (2023年2月22日 16時) (レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます!毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました!続き楽しみに待ってます! (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲愛 | 作成日時:2023年1月27日 12時

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