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episode13 ページ15

「じゃ、じゃあねAちゃん……また来ようかな」
「え〜うれしい〜! いってらっしゃいませご主人様っ」

これで勤務終了。
最後のご主人様を見送ると、どっと疲れがやってきた。

初回だったけど、手ごたえはあった。
きっとリピあり。

更衣室で私服に着替えて、キャストに挨拶を回った。


もう、23時30分を回っている。

今日は泉くんの月一生配信があったのだけど、残念ながらリアタイ視聴は叶わなかった。
家に着いたらアーカイブで見よう。


――と思ったのだけれど。


さすがに睡魔がやってきて、家に着いた時には夢現だった。
風呂にも入らず、化粧も落とさず、そのままベッドに向かい、気絶するように寝入ってしまった。


もちろん、スマホの画面を見る余裕もない。



翌朝、私は親友からの通話の着信音で目覚めた。

「んん……りんちゃんおはよ〜……」
『え? あ、うんおはよう。なんだAちゃん思ったより冷静』
「?」

朝から何の話だ。

「あのねぇいくら私でも朝からばかみたいにうるさいわけないでしょ……」

まだ頭がぼーっとしていて、ふわふわしながら話す。


『まさかAちゃん今起きたばっかりする?』
「りんちゃんの電話で起きたけど」
『おーけいおーけい、今すぐTwitter見て』


言われるがままにスマホを開く。
すっかりお昼になっていて、寝すぎたわーなんて思いながらもTwitterのアプリアイコンをタップした。

お店のアカウントに通知が溜まっていた。
お給仕の投稿にたくさん反応してもらえていたようだ。

とはいえそれはいつも通り。
リプや引リツを見ながらスクロールしていくと、


"瀬名泉 さんにフォローされました"


という文字が目に入った。

「……は?」

そこをタップすると何百回も見た、推し垢では当然フォロー済みの泉くんのアカウントに飛んだ。
そして、アカウント名の横に「フォローされています」の表示。


「これって何のドッキリかな」
『現実だよ……! ねえどういうこと?』

こっちが聞きたい。

人はあまりにも大きな衝撃を受けると一周回って冷静になるということがわかった。
意味が分からな過ぎて脳内は過去最高にクリア。

とりあえず、フォロバをしないと。
天下の瀬名泉様からのフォローを無視はできない。


それから1時間ほど、りんちゃんと通話をつないだ。
だんだん冷静さを欠けてきて、最後のほうはほとんどずっと叫んでいた。

化粧も落とし忘れていたので、お風呂にも入った。

――どうしてフォローしてくれたの?


つぶやいてみたけれど、答えは返ってこない。
独り言となった言葉はこだまして浴室に消えた。

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咲愛(プロフ) - ツキさん» コメントありがとうございます!始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです!続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします! (2023年2月22日 16時) (レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます!毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました!続き楽しみに待ってます! (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲愛 | 作成日時:2023年1月27日 12時

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