episode１０ ページ12
奇跡のような一日から早くも1か月。
あっという間に毎日は「日常」に戻った。
大学も、バイトも、もちろん推し活も、今までとなんら変わらない。
クレーマーの対応も、鬼畜すぎる授業も、
あのときのことを思い出せば全く苦痛ではなかった。
今日は店が定休日で、午後から大学の日。
りんちゃんは授業がないから来ないということを学校に来てから気づいた。
というのも、二人でカフェテリアでランチを食べてから授業に出るつもりだったため、ぼっちになってしまう。
来る前に気づきたかった。
ぼっち飯か……と思わず落ち込み、Knightsの曲でも聴きながら食べようかな〜なんて考えていると、
「あれ、今日はひとりなのか？」
うしろから声をかけられた。
はっと振り返る。
「え、と……。って──え！！？」
「な、なんにゃろ！！？ 急に大声出して！」
ごめんなさい！ と口を手で覆う。
かなりのボリュームで叫んでしまったらしい。
いや、でも、仕方ないような。
「……仁兎なずなくん、ですよね」
声をかけてきたのは、かわいいを売りにしている「Ra*bits」というユニットの元リーダーである仁兎なずなくんだったのだ。
「うん、おれ仁兎なずな」
「うわぁ国立大通ってるのは知ってたけどまさか同じとこだったんだ、神様ありがとう生で見るなずなくんかわいすぎます」
「はは……心の声けっこう漏れてるな」
先月もそうだったけれどこれは何かドッキリなのだろうか。
そうでもないとこの異常なアイドル遭遇率に説明がつかない気がする。
そういえば、
「さっき、"いつもの子"って……」
どういうことだろう。
なずなくんが少しきまりが悪そうに笑った。
「けっこう前に授業一緒だったときがあって、そのとき携帯鳴って着信音が泉ちんのソロ曲だった人がいて、」
それ私だ。
すごく恥ずかしかったのを覚えている。
ていうかなずなくんって泉くんのこと泉ちんって呼んでるんだ……かわいい。
「泉ちんのファンがいる！ って思って見ちゃって。夢ノ咲でも同じ部活だったしなんかうれしくて。
それからけっこうキャンパス内で見かけるたびに"あのときの子だ"って目で追っちゃってて」
あの仁兎なずなに目で追われていた……？
だめだ、多分私はそろそろ誰かに夜道で刺される。
「毎回同じ子と一緒にいるから、今日はいないんだなあって。
──って、急に話しかけてごめん。困らせるつもりはないんだ」そしてなずなくんは続けた。
「もし一人なら、おれも一人だし、一緒に食べないか？」
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
