episode９ ページ11
最後に10人で全体チェキを撮った。
前一列がKnightsで、うしろにメイド。
小さなステージの上に10人はさすがに多くて狭かったけれど、そんなこと一切気に留まらないくらいに私は上機嫌だった。
二度と来ないであろうこの時間を、
最後の一秒まで楽しんで、脳に焼き付けておきたい。
頭にはそれしかなかった。
かくして撮影が終わり、Knightsのメンバーともお別れの時間だ。
メイドカフェっていいな！ とレオくんが言ってくれて、泣きそうになった。
友達にメイドカフェで働いている、というと怪訝そうな顔をされることが多かった私にとって、この仕事、職場、メイドカフェそのものを肯定してくれるということがとにかくうれしい。
こんな些細な一言で人を幸せにさせてしまうなんて、
アイドルっていいな、って思う。心から。
プロデューサーであるあんずさんも帰り、あとは"いつものメンバー"だけが店に残った。
気を抜けば、実はすべて夢だったのではないか、という感覚に陥ってしまう。
本当に、Knightsに会えたのに。
「みんなおつかれさま〜〜！！ はじめてのことだらけで緊張したでしょうし、今日はゆっくり休むこと」
オーナーに激励されて、本日の勤務終了となった。
「そっか〜今日CD発売なんだ〜」
店を出た私たちはCDショップに向かっていた。
「そうそう。本当はフラゲしたかったんだけど大学とシフトでさ〜」
フラゲとはフライングゲットの略称。
発売日より前に商品を手に入れることだ。
店舗予約をすれば発売日の1日前にCDを確実に入手することができる。
私もそれをする余地だったのだけれど、昨日はあまりにも忙しくて取りに行く時間がなかった。
「わ、すごい！ Knightsのコーナーできてる！」
「しかもメンバーの全身パネルあるとか聞いてない〜凛月くんとツーショ撮らなきゃ！」
CDショップの前に、おそらくKnightsのファンなのだろう女子高生が二人。
店の入り口から少し離れたところに、Knightsのアルバムの宣伝コーナーができている。
メンバー全員分の全身パネルが設置され、グッズまで売られている。
「Aちゃんせないずのパネルと写真撮ってあげる」
「天才」
女子高生が凛月くんのと撮っている横で、私と泉くんで一枚。
チェキのときのような火照った感覚はなく、オタク万歳！！泉くんすき！！という感覚。
そのあと、CDだけの予定だったけれど、ついでにグッズも少し買った。
──幸せで幸せで、とろけてしまいそうな1日だった。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
