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episode24 ページ26

──この公園、なくなるって知ってる?


少し気まずい沈黙が流れて、私は男の子に尋ねた。
男の子──仮にAくんとして、Aくんは首を横に振った。



──知らない、はじめて聞いた

──なくなっちゃうんだよ、2年後に


寂しいね、と口にすると、じわっとなにか視界が歪むのを感じた。
小学校に入る前から、この公園で遊んでいたから、情が移ってしまったのだ。

嫌なことがあって気持ちを落ち着かせたいときも、友達と楽しく遊ぶときも、仲良くなれたお姉さんや子供たちと話すときも、いつだってここだった。
10年以上、この場所が好きだったから。



──ちょ……泣いてるの?

──泣いてない、し



ふるふると首を振る。
こんなことで泣くんじゃない、と自分に言い聞かせる。



──いいんじゃないの、別に



ふと、Aくんが言った。


──え?



──だから、泣いてもいいんじゃないの



私は意味が分からないというように目を丸くした。

「泣いてもいい」?
普通中学3年生にもなって泣いていたらおかしいんじゃないの?
「バカみたい」って貶されるんじゃないの?


少しだけ嫌なことを思い出しながら、私は「どうして」と震える声で尋ねた。
Aくんは「泣くのは悪いことじゃないでしょ」と答えた。



──今なら俺しか見てないし






さっさと吐き出しちゃいな、とAくん。
その優しさに触れて、もっと泣いてしまったのは言うまでもなく。


直接話すのは今日が初めてなのに。
世界にはこんなにも素敵な人がいるんだ、と思った。





と、そこまで回想してはっとする。

気付いたらお姉さんよりもAくんのことばかり思い出していた。

泉くんと重なったのは、お姉さんじゃなくて、あのときの男の子なのではないか。
きれいな顔も、糖質制限というストイックな姿勢も、少しつっけんどんな態度も、ふと見せてくれた優しさも、全部泉くんに当てはまるような、そんな気がした。

ただ、流石に都合がよすぎるよな、と首をぶんぶんと横に振る。
"泉くんと会ったことがある気がする"と思ったのだって、きっとオタクの都合のいい妄想で現実とごちゃまぜになってしまっただけなのだから。

そもそも私が泉くんと出会ったのは、今から二年前のことで、そのときあの男の子のことなんて何も思い出さなかったのだから。
無関係なのだろう。


高校の友達が、「夢ノ咲のライブ行かない?」と誘ってくれたのがきっかけだった。

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咲愛(プロフ) - ツキさん» コメントありがとうございます!始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです!続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします! (2023年2月22日 16時) (レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます!毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました!続き楽しみに待ってます! (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲愛 | 作成日時:2023年1月27日 12時

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