私の元カレの三ツ谷くん

第9話○ ページ9

あ「三ツ谷くん…」





三ツ谷くんは男の上に馬乗りになり、
顔を思いっきり殴った。




三ツ谷「お前、何してんだよ。…Aに何してんだよ！！」




三ツ谷くんの必死な表情に何も言えなかった。



けど、
私のせいで三ツ谷くんの体が傷つくのはおかしい。







あ「三ツ谷くん！！！！」





私は大きい声で三ツ谷くんを呼んだ。

三ツ谷くんは私の声にはっとして、
その男を殴るのをやめた。




あ「私なんかのために、ありがとう。でも…もうやめて」



そういうと、
三ツ谷くんは馬乗りをやめた。

その隙に男が立ち上がる。



そして三ツ谷くんは男を睨み、
「二度とすんじゃねぇぞ」
というと、
男は腰を抜けさせながらも、走って逃げて行った。





三ツ谷くんは私に近づいてくる。



手足の震えがおさまらない。




すると、三ツ谷くんはそれを見てか、
優しく私の手をぎゅっと握った。


三ツ谷「“私なんか“じゃねぇよ…」



そう言われ、またドキドキする。
三ツ谷くんはそうやっていつも肯定してくれる。



…諦めなきゃいけないのに。
思わせぶりはやめてよ…





三ツ谷くんの手を見ると、
さっき殴ったからか、手から血が出ていた。



あ「ごめん、私のせいで。手、けがしてる」


そういうと、三ツ谷くんは急に吹き出して大声で笑った。


どうして笑ったのか分からず、混乱していると、
三ツ谷くんは笑顔でこちらを向く。



三ツ谷「こんな時まで人の心配って…もうAらしくて笑ったわ」



そして軽くデコピンされる



三ツ谷「別にAのせいじゃねぇよ。あと今は自分の心配しろ？な？」




…三谷くんは優しい。
誰にでもきっとこうやって優しい。



…だからきっと私に向けられた言葉も勘違いだと思わなきゃ。





そう思っていると、
三ツ谷くんは急に私を抱き寄せ、頭をポンポンと撫でた。




そしてふと中学の時のことを思い出した。




三ツ谷「…で？何があった？Aがゲーセンいくなんてイライラした時だけだろ？」




ああ…
三ツ谷くん覚えていてくれてたんだ。




私の頬に1粒の涙が伝う。





三ツ谷くんにはなんでもわかっちゃうんだなあ。




…早く違う人を好きになりたいのに。


こんな苦しい気持ちから抜け出したいのに。





三ツ谷くんは私の顔を覗き込み、
心配した顔でこちらを見る。







…こんなの無理だよ…






諦められなくなるじゃん

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