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「 こんな話、聞きたい？ 」
いのちゃんにそう問われ、
迷い無く頷いた。
俺だってとっくに浮遊力を失っている。
両足を伸ばさないとどちらにせよ沈んでしま
うから。
何にでもすがりたい気持ちだった。
「つまんない話だよ、ろくでもない話。」
いのちゃんは、くるりと身体を返しうつ伏せ
になった。
俺も倣って同じ体勢をとってみる。
二人分の重さを抱えたベッドも今夜は、音を
たてない。
本来の役目を失ったそこは、驚くほど静かだ
った。
「……俺もさ、片親だったの。
母親だけ、父親は知らない。
でも、あんまり不自由はしてなくて、暮
らしぶりも裕福なくらいで。
高校も私立のやたら金が掛かる所だったし。
見栄っ張りな母親だったなぁ。
まぁ、顔は綺麗ですげぇ美人だったけど。」
いのちゃんが家族を語るのを初めて聞いた。
彼がこれまで身の上話をした事は、だだの一
度も無かった。
さばさばとした物言いは、今だってどこまで
も他人事だったけど。
「顔だけ綺麗な子連れ女が何で稼いでたか
って子供にも分かるよねぇ。
表向きは、スナック経営、でも裏では…。
本人は、上手く隠してるつもりでいたみ
たいだけど。
14歳の時に、母親が相手してた男にベッ
ドに引きずり込まれてさ……、
俺、その時初めて自分が母親にそっくり
なんだって気付いた訳。
そいつは間中、ずっと母親の名前を呼ん
でたし……俺は何度もイカされたけど
恐怖より気持ち良いって思えたから。」
“ 結局は、同じ血が流れてるんだね ”
いのちゃんは、自らを嘲笑して溢した。
「薮とは、高校で出会って“親友”になった
んだけど……」
いのちゃんは、確かに“親友”と言った。
俺は、妙に安心してしまい、去り際の薮ちゃ
んの背中をくっきりと思い出すことが出来た。
「高校2年の終わりに、母親が死んだの。
見つかってからはあっという間で、
半年くらいで死んじゃった。
正直、自業自得だなって思ったけど
自分を大切にする方法を知らなかった
のかな、ってそれだけは可哀想だった。」
言えなかったけど、
いのちゃんみたいだなと思ってしまった。
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ぴよ(プロフ) - あいとさん» あいとさん、ありがとうございます( ´∀｀)凄く久しぶりに二人に想いを馳せてみました。私もここ迄辿り着く過程を思うと万感の思いです。幸せに過ごしてほしいなぁ♪ (2018年6月25日 12時) (
レス) id: 20d979f9fd (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - ぴよさん！ろくでもない夜にファンの私にはとても嬉しいお話でした！この日までよく頑張ったね二人…、いのちゃんこれからは大好きな人にだけ甘やかしてもらうんだよ…となぜか親心…（笑）素敵なお話ありがとうございました！ (2018年6月24日 7時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - にゃーごさん» にゃーごさんこちらにもありがとうごさいます。このお話は当然完璧なフィクションなのですが、その中でも心の動きがなるべく自然に繋がる様にそれぞれの気持ちを想像して書きました。同じ様に感じて貰えて嬉しいです( ´∀｀)妄想は最高ですね 笑 (2017年4月28日 22時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - ぴよさん こんにちは。私がぴよさんに夢中になった作品は実はこの作品でした。あの子は実はこんな気持ちじゃないかな？なんて妄想が広がった時に胸にトンと降りてきてもう、ぴよさんワースドから抜け出せません。 (2017年4月28日 9時) (レス) id: a963f855a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 綺更さん» コメありがとうごさいます。最後まで読んで下さってとても嬉しいです。私も書きながらもどかしく、皆を幸せにしてあげれるのか不安になったりもしたのですが、無事完結出来てホッとしています。涙ぐんで頂けたの事で感激です！また面白いお話をお届け出来る様頑張ります (2017年1月14日 3時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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